部下の指導育成が上手くいかない人が見落している2つのポイントとは?
今回は部下の指導・育成に欠かせない大切なポイントをお届けします。
この記事をご覧になった方は、部下の社員がなかなか育たない、後輩の育て方が分からない、そんな悩みをお持ちの方が多いのではないかと思います。
分かるわぁ。仕事のできない部下をもつと色々大変なのよねぇ。
あれ?ゆうさんは、会社づとめの経験あるんでしたっけ?
ああ、実は昨日見てたドラマの話なんだけど、イケメン上司の部下が仕事ができない奴でさ・・・
(・・・ドラマの話なんだ。)
部下の社員が仕事ができないと、自分が部下の仕事をしなくてはならなくなったり、部下の失敗を自分が尻拭いすることになったりすることが多くなります。
最初の頃は、まだ経験不足だから仕方ないと思うところはありますが、このような状態が続くと、自分は仕事が増えてしまうのでストレスがたまり、部下の社員も自分の力で仕事を完結する力が育たないという、悪循環が生まれてしまいます。
つまり、『あいつは仕事ができないから』というレッテルを貼るだけでは済まない実害があるということです。
部下の指導・育成は、それだけ大切だということです。
なるほどね。でもさ、どうやって部下の社員を育てたらいいの?
問題はそこですよね。
部下を育てたいと思っても、育て方を知らなければ部下は育ちません。
でも、安心してください。
今回の記事で、成功する部下社員の育成方法をお伝えするからです。
ちなみに、今回の記事の内容を実践すると、部下の社員がこんなふうに変わります。
- 部下の社員がイキイキと仕事をするようになる。
- 部下の社員が自分から仕事に関する提案をするようになる。
- 部下社員が仕事をやめたいと思わなくなる。
え〜っ!本当にそんなふうになるの?
夢みたいな話ですよね。
信じられないと思うかもしれませんが、実際に私が職場で実践して効果を実感しています。
私の職場では、『今の仕事が忙しいから』とか『どこから手をつけていいのか分からない』という理由で敬遠されていた仕事を、部下の社員が自ら『ここからなら始められる』と提案してくれるようになりました。
職場の雰囲気も明るくなりましたし、部下が積極的に仕事を進めてくれるので部下の管理も必要がなくなった私は、気持ちがだいぶ楽になりました。
部下社員の指導・育成がうまく行かない、どうして良いか分からない方には、一度目を通していただきたい、そんな今回の記事でお伝えする内容はこんな感じです。
ポイントは2つあるのね。
そうですね。早速中身を見ていきましょう。
1時間目:部下育成のポイント1『非難・否定をしてはいけない』
ポイントの1つめは、非難・否定をしてはいけないということです。
例えばこんなシチュエーションを想像してみてください。
あなたは、飲食店でホールスタッフを担当しています。ある日、お客さんからクレームの電話がかかってきました。内容をよく聞いてみると『お子様ランチのセットに付くおもちゃを貰っていない』という内容です。
そのお客さんが利用した時間を聞くと、あなたが一人でホールを担当していた時間に利用したことが分かりました。
そのお客さんは大変お怒りで『客にまともなサービスも提供できないのか。詐欺だ。』というようなことを繰り返し言ってきます。
さて、電話を受けているあなたのモチベーションは上がりますか?
そんなわけ無いじゃない!
そうですね。そして、それが答えです。
このお客さんが発した言葉は、人を非難したり否定したりするものです。
そして、非難や否定のメッセージを受けているあなたは、『やってしまった』『そんなに言わなくてもいいじゃない』『私ってダメなんだ』というようなマイナスの気持ちが大きくなっていきます。
つまり、モチベーションは下がるということです。
そして、そんなモチベーションが下がった状態で、仕事を続けるとどうなるでしょうか。
良い仕事なんてできませんし、気持ちが落ちて注意散漫になっているあなたは同じ失敗を繰り返してしまうかもしれません。
つまり、非難や否定のメッセージを相手に伝えると、仕事のモチベーションを下げてしまい仕事の質が悪くなるということが起こります。
だから、非難とか否定はダメだってことなのね。
そうですね。仕事の良し悪しはモチベーションに左右される面も大きいですからね。
ここまでの読んでくださった方の中には、『否定がダメなら、どうやって部下を叱ればいいのか?』と思った方もいるかもしれません。
ですが、ここで私が駄目だ言っている『非難』とか『否定』というのは、仕事の中身以外のことで相手を傷つける行為のことです。
部下社員の仕事で間違っているところがあれば、その間違いを指摘することは上司としても会社としても必要です。
ですが、仕事の間違いだけでなく『だからお前はダメなんだ』とか『物覚えが悪い』とか仕事の中身と直接関係のないことで非難や否定はしてはいけません。
部下社員の仕事のモチベーションを必要以上に下げることになりますし、パワーハラスメントにもなってしまうこともあるからです。
そうなってしまっては、部下だけでなくあなたにも会社にもデメリットしかありません。
叱るときは、あくまでも『仕事の中身』の範囲の中でで叱ることが大切です。
叱るときは感情的にならないように意識すると良いですよ。
これが、『非難・否定をしてはいけない』というお話です。
2時間目:部下育成のポイント2『部下を認める』
続いて、部下を認めるというお話です。
先ほどと同じように、シチュエーションで考えてみましょう。
あなたは飲食店でホールスタッフをしています。ある時、2歳くらいの男の子を連れた家族が来店しました。
あなたはその家族を店の真ん中あたりにある席に案内しましたが、しばらくすると男の子がギャーギャー騒ぐ声が聞こえてきました。
男の子の親も、男の子の気を紛らわそうと家から持ってきた車のおもちゃをだしてみたりしましたが、一向に静になる様子はありません。周りのお客さんも迷惑そうにしています。
そんな時、窓際の席でお帰りになるお客さんがいました。あなたは窓際の席に残された食器を急いで片付け、男の子の家族に『よろしければ窓際の席に移動しませんか?』と声を掛けました。
窓際の席は、道路を走る車が見られるので『車のおもちゃをもっている男の子なら、喜ぶかもしれない』と思ったからです。
そして、その作戦は見事にハマり、男の子は外の走る車を見てご満悦の様子。男の子の親からも『ありがとう』と感謝されました。
そして、その家族が帰ったあと、お店の店長から『いい仕事したね!ああいう接客が出来るなんて素晴らしいよ』と声を掛けられました。
さて、あなたのモチベーションはどうなりますか?
上がるわ!嬉しいって思うもの!
そうですよね。褒められるって嬉しいですよね。
褒めるというのは、相手を肯定する、認めるという行為です。
自分のしたことを認められて嬉しくならない人はいませんし、認められれば『私はできる』『上司に認められて嬉しい』というプラスの感情が湧いてきます。
さて、このモチベーションの上がった状態のまま仕事を続けたらどうなるでしょう?
声が出る、笑顔が弾ける、丁寧に接客ができるなど、ひょっとしたらいつもより良い接客ができるかもしれません。
先ほどの『非難・否定をしてはいけない』のところでもお話しましたが、モチベーションが仕事に与える影響は非常に大きいです。
言い換えれば、部下社員と接するとき、意図的に部下社員を認めるかかわりをすれば、生産性は確実に上がるということになります。
部下社員を認める言葉『ナラのシカ』
部下を認める方法には、褒める以外に『ナラのシカ』という方法があります。
奈良の鹿?それが何で部下を認めることになるのよ?
奈良の鹿は関係ありません。単なる語呂合わせです。
『ナラのシカ』とは、相手にお願いするときに効果的な言葉のことで、『ナラ』と『シカ』を合わせた造語です。
具体的には、『あなたならできる』 『あなたにしかできない』というように使います。
この『ナラのシカ』を使うだけで、単に『お願い』と伝えるよりも、相手が頼みを聞いてくれる確率は上がります。
お願いした相手に『自分は認められている』『自分は特別扱いされている』という気持ちをもたせることができるからです。
部下に仕事を頼むときは『ナラのシカ』を意識して使ってみましょう。
前から思ってたけど、こんな良い記事は、たかさんにしか書けないわ!
そう言われると、照れますね。
(単純・・・)
この頼み方をすると、相手の方が照れてしまうこともあるくらい明らかにいい反応が返ってきます。
そして、特別扱いをされているように感じた部下社員は、より良い仕事をしようという気持ちが強くなり、結果としていつもより質の良い仕事をしてくれるようになります。
3時間目:認められた社員は自分で成長する
ここまで部下社員の育成について、『非難・否定はしてはいけない』『認める』という方法をお届けしてきました。
これらの方法を意識して続けていくことで、いつしか部下は力をつけ自力で成長していくようになります。
その理由は、マズローの欲求階層理論で説明することが出来ます。
過去記事でも紹介しましたが、マズローの欲求階層理論は、人間の欲求は5段階のピラミッドのように構成されており、下位の段階の欲求がある程度満たされると上の階の欲求を満たしたくなる欲求が出てくるという理論です。
下の図を見てください。
ピラミッドの上から2番目に『尊敬(承認)の欲求』と書かれていることが分かると思います。
尊敬(承認)の欲求とは、『認めてもらいたい』という欲求のことになりますので、先ほどから説明している『部下を認める』ことによって満たすことができます。
そして『認める』ことにより尊敬(承認)の欲求が満たされると、尊敬(承認)欲求の上の階、すなわち『自己実現欲求』を満たしたいという気持ちが出てくることになります。
自己実現の欲求とは、自分の可能性と能力を伸ばしたいという『自己成長』の欲求です。
自分から『成長したい!』って思うのね。
そうですね。自分から成長しようって思う人は、能力が・・・
上がるわよね!
・・・。
職場で部下が『成長したい』という欲求を持つようになると、自己啓発活動を積極的にするようになります。
自己啓発活動の方法は、読書であったり、セミナーを受けに行ったりと個人によって様々ですが、自発的にこういった行動をとるようになると自然と教養が高まり、視野も広がります。
しかも、『やらされている感のある研修』とは違って、自発的に能力を上げようとして活動しているため、その効果は絶大です。
そして、その絶大な効果は、そのまま部下の成長に繋がります。
これが、認められた部下は自分で成長するようになる理由です。
まとめ
今回は、部下の指導・育成が上手く行かない人が見落としているポイントについてお話させて頂きました。
最後にまとめていきます。
まず、部下育成に欠かせないポイントが2つあることをお届けしました。
具体的には、『非難・否定をしてはいけない』ということと『部下を認める』ということです。
部下を認める方法には、『褒める』という方法の他に、『ナラのシカ』という方法があり、『ナラのシカ』を使うと、『自分は特別である』という感情を相手に抱かせることができるため、部下のやる気を引き出すにはとても有効だというお話をお伝えしました。
そして、自分を認められたと感じた部下は自己啓発活動をするようになり、自分で力をつけるようになるというお話でした。
今日のお話は以上となります。
今日のお話はいかがでしたか?
普段から部下を怒ってばかりいた、あの上司はダメダメ上司だったってことね。
(あ、ドラマの話か・・・。)
おまけ:今日のたかさん
心のモヤモヤ、どうやったら取り除けるの?
『よく分からないけどモヤモヤしてる』、『このモヤモヤを早く取り除きたい』、そんな気持ちになったことはありませんか?
今回の記事を読んでくださっている方は、『ソワソワ』『ムズムズ』『ザワザワ』など今まさに『心のモヤモヤを体験している』方が多いのではないかと思います。
ああ、そうそう。それ・・・今の私だわ。
ゆうさんらしくないですね。何か気になることでもあるんですか?
それが分からないから、モヤモヤしてるんじゃない!
ああ、そうでしたね。ごめんなさい!
心にモヤモヤがあるときは、どうして自分がモヤモヤしているのかが分かりません。
こういうスッキリしない状態が続くと、イライラしたり、遊んでいても思い切り楽しむことができなくなってしまいます。
こうなってしまうと、モヤモヤが気になって仕方なくなりますし、このモヤモヤをどうにかしたいとも思います。
ところが、ここで大きな壁が立ちふさがります。
どうしたらモヤモヤを消せるか分からない、ということよね。
そうなんです。でも、安心してください。そのために今回の記事あるんです。
モヤモヤを取り除きたくても、その具体的な方法が分からなければモヤモヤを取り除くことはできません。
そこで、今回の記事では、ストレスになってしまう心のモヤモヤを取り除き、気分をスッキリさせるための具体的な方法をお伝えします。
どんな内容になっているかと言うと、こんな感じです。
この記事を読めば、モヤモヤの原因をハッキリさせるためのプロセスを知ることができます。
つまり、自分でモヤモヤを解消することが出来るようになるということです。
メリットはそれだけではありません。『心のモヤモヤを解消する』ということは、同時に自分でも分からなかった自分の本当の気持ちに気づくことにもなります。
どういうこと?
私の例を挙げて説明しましょう。
私の場合、楽しみであるはずの休日になると、なぜかいつも『ソワソワ』して落ち着かない状態が続いていました。
そこで、今回記事でお伝えする方法を実践したところ、最初に行き当たったのは『ブログを更新しないと不安だ』という自分の気持ちです。
そして、『ブログを更新しないと不安』な理由をさらに探っていくと、たどり着いた答えが『自分で決めたことを投げ出してしまいそうで、それが怖いから』というものでした。
この『怖い』という気持ちがハッキリ分かったとき、私の『ソワソワ』感は無くなっていました。
このように、自分の本当の気持ちに気づくことができると、心のモヤモヤ感は自然と無くなります。
モヤモヤの中に自分の本当の気持ちが隠れているのね。
そうですね。モヤモヤは自分の気持ちの目隠しなんです。
私の例に限らず、自分の本当の気持ちに気づくことができれば、それは『自分らしく生きるためのヒント』にもなります。
自分の本当の気持ちに気づくということは、『本当は自分はこうしたいんだ』という自分の素直な気持ちが見えるということになるからです。
自分の素直な気持ちに従って生きることは、自分らしく生きることです。
私達が生きられる時間は限られています。
だからこそ、自分らしく生きてみませんか?
今回の記事は、そんなあなたの願いを叶える手助けになるものです。
ぜひ、最後までお付き合いください。
1時間目:フォーカシングという心理療法
フォーカシングという言葉を聞いたことがありますか?
あっ!何とかイリュージョンのやつだ!
あ、ああ、前回の記事で紹介したフォーカシング・イリュージョンのことですね。
えっと、 何とかイリュージョンとは関係ないの?
フォーカシングは、シカゴ大学の教授だったユージン・ジェンドリンさんが開発した心の中にあるモヤモヤしたものに焦点を合わせ、それに向き合うことで心の苦しみを和らげていく心理療法です。
前回お伝えしたフォーカシング・イリュージョンは、『これがあれば幸せになれる』という考え方をすると不幸になる確率が上がるというお話ですので、今回の『フォーカシング』とは関係ありません。
参考に、前回の記事のリンクを貼っておきますので、まだご覧になっていない方は、ぜひご一読ください。
さて、今回お伝えする『心のモヤモヤを取り除く方法』では、このフォーカシングと呼ばれる心理療法を使います。
具体的には、自分のモヤモヤに注意を向け、そのモヤモヤを感じたり、話しかけたりしながら、モヤモヤに隠れている気持ちを少しずつ解消していきます。
自分自身と向き合い、自分の本当に気持ちに気づく、これがフォーカシングです。
フォーカシングについては分かったんだけど・・・う〜ん。。
何か気になることでもありますか?
フォーカシングって心理療法なのよね。私一人じゃできないんじゃない?
フォーカシングは、カウンセラーがクライアント(悩みを抱えている人)に話しかけながら進めていく心理療法です。
ですので、フォーカシングの実施方法を理解しても、自分ひとりで進めることはできません。
そこで、今回の記事では、フォーカシングの進め方を個人で出来るレベルにアレンジしてお届けします。
フォーカシングを応用したセルフ・カウンセリングってとこね。
そうですね。『自分との向き合い方』くらいに考えてもらうと丁度良いと思います。
2時間目:自分と向き合うときの注意点
それでは、早速自分と向き合い方について説明します・・・と言いたいところですが、ここで1つだけ注意して欲しいことがあります。
この『自分と向き合う』方法を使うと、モヤモヤが次第に晴れて自分の本当の気持ちに近づいていきます。
すると、今までの自分の生き方を悔いたり、自分が情けなくなったりとマイナスの感情が湧いてくるということがあります。
先ほどの私の例を使って説明しましょう。
私は、ブログを更新しないと『投げ出してしまうことが怖い』と感じてしまう自分がいることに気づくことができました。
ところが、それと同時に別の気持ちが湧き上がってきました。
その気持ちとは、『自分で決めたことさえも、続けられるか分からないと考えてしまうくらい弱い人間なんだ』というものです。
つまり、自分が情けなく思えてしまったということです。
このように、せっかくモヤモヤが解消されても、マイナスの感情が湧き上がってきてしまい、かえって自分を責めたり落ち込んでしまうことがあります。
それだと、モヤモヤ問題は解決しても・・・何かスッキリしないわねぇ。
そうですね。ですが、そのスッキリしない気持ちが大切だったりするんです。
試験前日にゲームをしたことがあれば、その理由は分かります。
試験前日のゲーム
試験前日にゲーム?
そうです。ゲームです。
試験前日に勉強せずにゲームをやっていると、なぜか落ち着かなかったり、純粋に楽しめなかったり、そんな経験をしたことが一度はあるのではないでしょうか。
好きなことをやっているのに落ち着かない、集中できないのは心のどこかに『明日テストがあるんだから勉強しないといけない』という気持ちがどこかにあるからです。
このように、自分の本当の気持ちとやっていることが違うと違和感を感じます。
実際、この違和感はゲームを辞めて勉強を始めると無くなります。
自分の気持ちとやっていることが一致したからってことね!
そうですね。そして、これと同じことが心のモヤモヤにも言えるんです。
心のモヤモヤは、本当の自分の気持ちです。つまり、『モヤモヤ』があるということは、今自分が行っていることと自分の気持ちが離れていることを意味します。
つまり、モヤモヤとは『本当に自分がやりたいことを思い出して』って自分が自分に教えてくれている状態というわけです。
それって、いいことじゃない?
そうなんです。だから、モヤモヤを解決して嫌な気持ちになっても、落ち込む必要は無いんです。
自分と向き合うと落ち込むことがあるかもしれませんが、それは自分にとって前向きなサインです。
それは、自分の本当の気持ちに気づかずに生きる場合と、そうでない場合を比べて『どちらが後悔しない生き方なのか』を考えれば分かります。
試験前日にゲームをするのと、試験前日に勉強するのとではどちらが後悔しないかを想像すれば、それは理解できると思います。
モヤモヤが解消されたとき、マイナスな感情が湧き上がってくるかもしれません。
ですが、そのマイナスな感情に負けて自分を責めてはいけません。
これが、自分と向き合うときの注意点です。
3時間目:自分と向き合おう
それでは、自分と向き合う方法についてお伝えします。
いよいよ今日のメインディッシュね!
モヤモヤを取り除こう
大切なのは、素直な気持ちと自分から生まれた気持ちを受けとめるおおらかな心です。
この方法を進めていくと、自分で見たくない、認めたくない気持ちが生まれることがありますが、そこから目をそらしてしまうとこの方法は成功しないからです。
手順1:まずはリラックス
まずは自分が集中できる落ち着いた静かな場所に移動して、大きく深呼吸しましょう。
手順2:モヤモヤを感じる
目を閉じて、自分が抱えているモヤモヤを感じてみてください。
このとき、『モヤモヤの原因は、アレに違いない』、『モヤモヤは気のせいだ』というような決めつけはせず、自分の気持ちを素直に受けとめる姿勢がとても大切です。
手順3:モヤモヤをイメージする
モヤモヤの色や形、大きさ、重さなどを具体的にイメージしてみてください。最初は『何となくこんな感じかも』というレベルでも構いません。(近くに紙とペンがあるなら、文字に起こしてみたり、モヤモヤのイメージを絵に描いてみると、より効果的です。)
何となくでもイメージができたら、そのモヤモヤにはどんな名前がピッタリか考えてみましょう。(『モクモク』『ムズムズ』『ギザギザ』『ドンヨリ』など)
名前はしっくりきますか?しっくり来ないときは、もう一度名前を考えてみましょう。
手順5:モヤモヤを取り出す
そのモヤモヤをそばに置いて3〜5分くらい感じてみてください。しばらく一緒にいると最初のイメージと変わってしまうこともありますが、それはそれで問題ありません。
モヤモヤは嫌なものですが、少し我慢をして一緒にいてみてください。ただし、気分が悪くなったら、モヤモヤにサヨナラを伝えて中断してください。
その後、体の外に取り出して隣に置いてください。(そういうイメージをするという意味です。)
これが上手くいくと、モヤモヤが体の外に出た分、気持ちが少しだけ楽になるのを実感できると思います。
モヤモヤの原因を突き止めたいときは、更に手順6に進みます。
手順6:モヤモヤに話しかける
モヤモヤに『あなたは何?』と心で話しかけてみましょう。
もし、モヤモヤから返事が返ってこないようでしたら『何か私に言いたいことがある?』と話しかけてみてください。
何も話しかけてこなければ、モヤモヤに触れてみましょう。イメージしていたものと違う感触になることがありますが、それは自分の気持ちに近づいている証拠です。
手順7:感謝を伝えてサヨナラする
モヤモヤが解消した場合でもそうでない場合でも、終わりには感謝を伝えてから終わりにします。
モヤモヤが何か分からなくても、このサヨナラするタイミングで分かることもあります。
モヤモヤを取り除く方法を紹介しましたが、いかがでしたか?
正直に言うと、時間はかかるし・・・難しかったわ。
この方法は、自分の気持ちを客観視して探る方法を、取り組みやすいようにいくつかのステップに分けてお伝えしているものだけです。
ですので、ステップは進んでも注意深く観察したり、自分の感情を素直に受けとめることができないと上手くいきません。
そこで、もう1つ、モヤモヤを取り除く手助けになる方法をお伝えします。
『私は今』でモヤモヤを取り除く
『私は今』というのは、『私は今、◯◯だ』の◯◯の中に自分の気持ちを当てはめるという方法です。
例えば、『私は今、悲しい気持ちだ』『私は今、不安な気持ちだ』といった具合です。
この当てはめの作業をしていき、◯◯の中に自分の感情とピッタリな言葉が入ると、一気に気持ちが楽になります。
すごく簡単じゃない!どうしてそれを先に教えてくれなかったの?
この方法、実は一つだけ弱点があるんです。
『私は今』の弱点というのは、◯◯の中に自分の感情にピッタリの言葉が入らないと気持ちが楽にはならないということです。
例えば、自分の子どもが勉強せずにイライラしていたとしましょう。
このとき、『私は今、怒っている』『私は今、イライラしている』という言葉では気持ちが楽にならないことがあるということです。
え〜っ!イライラしてるのに、『私は今、イライラしてる』じゃ楽にならないの?
そうなんです。それは、なぜ親が子どもにイライラするのかを考えれば分かります。
なぜイライラするのか??ちょっとよく分かんないんだけど??
親が勉強しない子どもにイライラする理由は、勉強して欲しいという親の気持ちが子どもに届いていないと感じるからです。
つまり、『どうして分かってくれないの?』という気持ちがイライラの後ろには隠れています。
『どうして分かってくれないの?』に隠れている感情は、親の気持ちを分かってくれない虚しさであったり、言っても分かってくれない悲しい気持ちであったりします。
ってことは、『私は今、虚しい気持ちだ』ってするとスッキリするってことね。
子どもが言うことを聞いてくれない虚しさからイライラしているってことです。
これ難しいわ。
そうなんです。適切な言葉を見つけるのが難しいんです。
この『私は今』という方法は、適切な言葉を見つけないと自分の気持ちに気づけないというデメリットがあります。
ですが、逆を言えば、感情の言葉を当てはめてみてスッキリしないときは、当てはめた感情は自分の本当の気持ちとは違うということになります。
つまり、モヤモヤの原因にはなっていない自分の気持ちを、本当の自分の気持ちを考える候補から外すことができるというわけです。
なるほどねぇ〜。要は使い方ってことね!
そうですね。
もちろん、感情の言葉を当てはめてスッキリしたときは、それが今の自分の本当の気持ちということになりますので、それに越したことはありません。
これが『私は今』でモヤモヤを取り除く方法です。
まとめ
今回は、モヤモヤを取り除く方法についてお届けしましたが、いかがでしたか?
『いかがでしたか?』って言われても、難しかったわ。
そうですね。今回の内容は、少し難易度が高かったかもしれません。
この記事を書こうと計画したとき、最初に考えたことは『モヤモヤを解消するストレス発散法』について書くということでした。
ですが、モヤモヤによって生まれたストレスを解消しても、それは一過性のもので具体的には何も解決していません。
それでは意味は無いと考えたわけです。
たかさんって変なとこが真面目よね。
一応、褒め言葉として受け取っておきます。
ストレス解消は、薬で言うところの痛み止めです。痛み止めでは根本的な解決をしてくれません。
モヤモヤがストレスの原因であるなら、モヤモヤを取り除くことが大切です。
そのため、少し難しいとは思いましたが、今回の内容をお届けすることにしたというわけです。
言い訳は、それくらいにして最後の『まとめ』お願いしま〜す!
は、はい。それでは、最後にまとめていきますね。
今回お届けしたのは、心のモヤモヤを取り除く方法です。
心のモヤモヤは、自分の本当の気持ちが隠れているものです。
そして、心のモヤモヤを取り除く方法として、『フォーカシングを応用した7つの手順』と『私は今』という2つの方法をご紹介しました。
また、自分の本当の気持ちに気づくと、マイナス感情が湧いてくることがありますが、それで自分を恥じたり、責めることはしてはいけいないということをお伝えしました。
本日の内容は以上です。
ところで、ゆうさんのモヤモヤって結局何だったんですか?
ああ、アレね。。実は、たかさんから借りた本なんだけど、どこかに忘れて来ちゃったみたいなのよ。
ええっ!そりゃないですよ!探しましょう、早く早く!
(もう見つかったんだけどなぁ。)
おまけ:今日のたかさん
『これがあれば幸せ』は不幸の始まり?
もし、あなたが『〜があれば幸せになれる』と考えているとしたら、それは不幸の始まりかもしれません。
今回の記事を読んでくださっている方には、『お金があれば幸せになれる』『好きな人と付き合えれば幸せになれる』というように『〜があれば幸せになれる』と考えている方が多いのではないでしょうか。
ひょっとしたら、この記事のタイトルを見て『えっ?幸せになりたいって思っちゃダメなの?』と思った方もいるかもしれません。
もちろん、幸せになりたいと思うことは悪いことではありませんし、私も常日頃から『幸せになりたい』と思っています。
ですが、『これがあれば幸せになれる』という考え方は、とても危険な考え方です。
なぜなら、『これがあれば幸せになれる』という考え方をすると、不幸になる確率を上げてしまうことになるからです。
えっ!?幸せになりたいのに不幸になっちゃうの?そんなことって本当にある?
矛盾しているように聞こえるかもしれませんが、実際には有るんです。
ホームルーム:舌切り雀のお話
『これがあれば幸せになれる』という考え方をしてしまうと、望むものを手にしても、望むものが手に入らなくても不幸になってしまう可能性が出てきます。
こんなことを言うと、『望むものを手に入れて不幸になることなんてあるのか?』と思う方もいるのではないかと思います。
ですが、実際にそういう事例はありますし、この記事を読んでくださっている皆さんも『欲しいと思って手に入れたのに幸せにならなかった出来事』を既にご存知なのではないかと思います。
ゆうさんは、『舌切り雀』の話、知ってますか?
あっ、懐かしい!『日本昔ばなし』よね!!
この舌切り雀の話に出てくる欲張り婆さんは、『大きな箱(つづら)には宝物がたくさん詰まっているに違いない』と思い、大きな箱を雀から強引に奪ってしまいます。
そして、機体を膨らませて大きな箱のフタを開けが欲張り婆さんが見たものは、金銀財宝・・・ではなく、虫や蛇でした。
この『舌切り雀』の話は、本来『無慈悲なことをしたり、欲張ることは良くないことだ』ということを伝えるお話です。
ですが、欲張り婆さんの視点から見れば、自分の思惑通り大きな箱を手に入れたのにもかかわらず不幸になったという話でもあります。
なるほどねぇ。でもさぁ、欲張り婆さんは、悪いことをして欲しいものを手に入れたわけじゃない?
そうですね。
欲張り婆さんは悪いことをしたんだし、不幸になるのは当たり前なんじゃないの?
なるほど・・・悪いことでなければ、不幸になることがあるのかって言いたいワケですね。
結論から言ってしまえば、『これがあれば幸せ』という考え方をして不幸になるケースは、事の善悪に限らず起こります。
それは、『これがあれば幸せ』という考え方そのものに問題があるからです。
それでは、どうして『これがあれば幸せ』という考え方が不幸に繋がってしまうのか、こんな感じで段階的に1つずつ紐解いていきましょう。
- 1時間目:『これがあれば幸せ』と考えると不幸になる理由
- 2時間目:フォーカシング・イリュージョン
- 3時間目:フォーカシング・イリュージョンは完全には防げない?
- 4時間目:フォーカシング・イリュージョンとの上手な付き合い方
- まとめ
- おまけ『今日のたかさん』
フォーカシング・イリュージョン?マジックショーでもやるの?
ブログでマジックショーはできません・・・というか、そもそもマジックショーではないです。
言われなくても分かるわよ。冗談よ、冗談。
(・・・怪しい。)
幸せになる方法には大きく2つあります。
1つは幸せを増やす方法、もう1つは不幸を減らす方法です。
今回の記事では、『不幸を減らすため』に知っておきたいことをお届けします。
つまり、今回の話を知っているだけで、不幸になる確率を確実に下げることができるというわけです。
そして、フォーカシング・イリュージョンとは、その不幸になる確率を下げる鍵となるものです。
あなた自身の幸せのために、最後まで読んでいただけたら幸いです。
1時間目:『これがあれば幸せ』と考えると不幸になる理由
先ほど、『これがあれば幸せ』という考え方をしていると、事の善悪関係なく不幸になることがあるとお伝えしました。
そうそう。その問題がまだ解決していなかったわよね。
分かりやすく具体例を挙げて説明しますね。
幸せの代表例と言えば、やはり『結婚』でしょうか。
結婚とは、新郎と新婦がお互いを尊重しあい、これから夫婦で力を合わせて新しい家庭を築いていこうと誓い合う、人生最良の日とも言われる素敵な出来事です。
そんな幸せを迎えるカップルは、年間で約60万件。
結婚すれば『幸せになれる』と思っている方も多いのではないでしょうか。
結婚かぁ・・・いいなぁ。
私もウエディングドレス着てみたい!
結婚は『幸せの代名詞』にも使われることがあるくらい素敵なことですよね!
ところが、そんな幸せな結婚の裏で進んでいることがあります。
それが離婚です。日本の離婚件数は年間で20万件を超えており、結婚したカップルのうち実に3組に1組が離婚をしています。
この離婚したカップルについて少し考えていきましょう。
離婚してしまったカップルも、過去にさかのぼり結婚を決めた時の気持ちを振り返れば、『結婚すれば幸せになれる』という希望をもっていたことが想像できます。
そして、結婚披露宴をしたカップルであれば、『結婚して幸せな家庭を築いていきたい』という幸せ一杯のメッセージを、両親や親戚、友達、そして会社の人などその場にいた全員に伝えていたはずです。
ところが、幸せになれると思っていた結婚はうまく行かず、結果として離婚することになってしまいます。
さて、『結婚すれば幸せになれる』と信じて結婚したカップルが離婚を迎えるとき、そのカップルはどんな心境になると思いますか?
複雑な気持ちになるわね。
離婚したくて結婚するカップルはいませんからね。
結婚すれば幸せになれると思っていたことを考えれば、少なからず『結婚すれば幸せになれると思っていたのに幸せになれなかった』、『私は幸せにはなれないのかもしれない』という気持ちが出てくるのではないでしょうか。
もちろん考え方には個人差はありますし、別れ方にもよると言われればそのとおりです。
ですが、少なくとも『結婚すれば幸せになれる』と思っていたこと、『今回の結婚では思っていた幸せがつかめなかった』ことの事実は変わりません。
結論を言います。
『これがあれば幸せ』という考え方をすると、欲しい物が手に入って幸せになれなかったときに不幸を感じます。
そして、欲しい物が手に入ったとしても、幸せになれるかどうかは全く別の問題です。
2時間目:フォーカシング・イリュージョン
皆さんは、 フォーカシング・イリュージョンという言葉を聞いたことがありますか?
フォーカシング・イリュージョンは、『思い込みから生じる幻想』とも訳されるもので、アメリカのノーベル経済学賞受賞者であるダニエル・カーネマンさんが提唱した言葉です。
具体的には、『〜すれば幸せになれるはず』と思い込んでしまい、その状態が自分が幸せになれるかどうかの分かれ目であるかのように信じてしまうことを言います。
さっきから話に出てる『これがあれば幸せになれる』っていう考え方ね。
そうですね。特に『無いものねだり』をしているときは、この考え方になっていることが多いですね。
例えば、『結婚すれば幸せになれる』『出世すれば幸せになれる』『ゲームを買えば幸せになれる』のようなものは、全てフォーカシング・イリュージョンだと言えます。
結婚しても3組に1組は離婚してしまいますし、出世しても重圧に耐えきれずに降格を希望する人もいます。
ゲームを買った場合でも、ゲームが上手くプレーできずにイライラして止めてしまう人もいます。
つまり、幸せになれる保証が無いのに、あたかもそれがあれば幸せになれるかのように思い込んでしまう、これがフォーカシング・イリュージョンです。
選択肢から選ぶ場合もフォーカシング・イリュージョンに要注意!?
例えば、あなたが就職活動をして、A社、B社、C社の3社から内定を得られたとします。
この中で、世間的に知名度が高いA社、給料が一番良さそうなのはB社、自分が好きな仕事ができそうなのはC社だとします。
さて、あなたはどの会社を選びますか?
私なら、給料は魅力的だけど・・・好きな仕事をしたいしC社を選ぶわ。
では、入社したC社がブラック企業だったとしたら、どうでしょうか?
ええっ!!そ、それだと・・・B社に入れば良かったって思うかなぁ。
ゆうさんは、3社を比較する際、『知名度』、『給料』、『好きな仕事』の3つを優先順位の高い方から並べ、一番優先順位の高かった『好きな仕事』のできるC社を選択しました。
『好きな仕事ができることが一番』だと考えたからです。
ところが、希望して入社したはずのC社がブラック企業だと分かると、ゆうさんには『思っていたのと違う』という気持ちが生まれ、更には『B社に入れば良かった』という言葉が出てきました。
つまり、『C社に入れば(好きな仕事ができて)幸せになれる』保証はないのに、C社に入ることが幸せであるというフォーカシング・イリュージョンが働いたことになります。
このように選択肢を吟味してよく検討しているつもりでも、実は『フォーカシング・イリュージョンにとらわれていた』ということはよくあります。
3時間目:フォーカシング・イリュージョンは完全には防げない?
う〜ん。
どうしました?何か分からないところがありましたか?
何とかイリュージョンは分かったんだけど・・・結局どう考えれば正解なのかなぁ〜って。。
フォーカシング・イリュージョンが不幸をつくってしまう可能性があることは、ここまでの説明でお分かりいただけたと思います。
すると次に問題となるのは、フォーカシング・イリュージョンで不幸にならないためにどんな対策をとる必要があるのかということです。
ですが、結論から言えば、フォーカシング・イリュージョンを完全に防ぐことはできません。
なぜなら、人間には欲求が備わっているからです。
マズローの欲求段階理論
マズローの欲求階層理論をご存知でしょうか?
欲求階層理論は、人間性心理学の生みの親とも言われる心理学者アブハム・マズローが提唱した理論で、人間の欲求は5段階のピラミッドのように構成されており、下位の段階の欲求がある程度満たされると上の階の欲求を満たしたくなる欲求が出てくるという理論です。
このピラミッドの一番下にある『生理的欲求』は、食べたい、飲みたい、寝たいなどの人が生きていくための基本的で本能的な欲求になります。
生まれたばかりの赤ちゃんでも、お腹が空けば泣きますし、眠くなればグズります。これは、生理的欲求が働いている状態だと言うことができます。
つまり、人はこの世に生まれたときから欲求をもっているということになります。
欲求がある以上、『これが欲しい』というような気持ちを完全に無くすことはできません。
それは、フォーカシング・イリュージョンを避けて生きることはできない、完全に防ぐことはできないということを意味しています。
そうなると・・・上手に付き合っていくしか無いってことになるわね。
そうですね。では、最後にフォーカシング・イリュージョンとどう付き合っていくか解説しましょう。
4時間目:フォーカシング・イリュージョンとの上手な付き合い方
フォーカシング・イリュージョンは完全に防ぐことはできませんが、上手に付き合う方法はあります。今日はその中から具体性のある2つの方法ご紹介しましょう。
1つ目の方法は、本質をみるという方法、もう1つは根拠のない自信をもって努力するという方法です。
本質をみる
本質をみるというのは、言い換えれば、手段を目的化していないかチェックをするということです。
『これがあれば幸せ』という考え方は、欲しい物を手に入れることが目的になっている考え方です。
ですが、『欲しい物を手に入れる』という行為は目的ではなく手段です。
あっ、本当だ!手段が目的みたいになってる!
でも、それが何とかイリュージョンとどう関係するの?
手段を目的化すると、フォーカシング・イリュージョンになってしまうんです。
例えば、過去に紹介した記事で『自分に自信が無いから顔の整形をしたい』と相談してきた大学生のA子さんの事例、覚えていますか。
A子さんは、『私の顔はみんなに笑われる顔』だと思い込んでしまい、それが原因で常にマスクをしないと外に出られないくらい自分に自信がもてなくなってしまいます。
そして、自分の自信を取り戻すために『整形をしたい』という相談を私の所に持ちかけてきたというお話です。
『整形すれば自分に自信を持てる』ってA子さんは言ってたのよね。
そうです。A子さんは『整形すれば自分は幸せになれる』って思ったんです。
あっ!何とかイリュージョンの考え方だ!!
(フォーカシング・イリュージョンって言葉、覚えられないのかな??)
このように手段を目的化してしまうと、フォーカシング・イリュージョンの罠にはまってしまうことになります。
つまり、フォーカシング・イリュージョンの罠にはまらないためには、手段を目的化していないかチェックすることが大切だということになります。
そして、そのチェックをする具体的な方法が『なぜ』を繰り返すというものです。
考えていることに対して『なぜ?』という質問を投げかけることで、物事の本質に近づくことができます。
例えば、先程の『整形したい』を例に挙げると、こんな感じになります。
このように『なぜ?』を繰り返していくことで、整形することは手段だと分かり、本当の目的は『自分に自信をもつこと』だと気づくことができます。
つまり、『なぜ?』を繰り返すことで、『整形すれば幸せになれる』というフォーカシング・イリュージョンの罠を避けることができるということです。
これが本質をみるという方法です。
根拠のない自信を持って努力する
根拠のない自信をもって努力するという方法は、フォーカシング・イリュージョンが起こるのは承知の上で、それが真実だと信じて努力をするという方法です。
え〜っ!!それおかしくない!?
だって、何とかイリュージョンで考えると不幸になるって言ってたじゃない!
ゆ、ゆうさん、落ち着いてください。正確には、幸せになるように努力するってことです。
え〜っ、納得いかないなぁ・・・ちゃんと説明してよね。
フォーカシング・イリュージョンは、幸せになりたいという欲求から起こるものです。
ところが、実際に幸せになれるかどうかは欲しい物を手に入れてみないと分かりません。未来は誰にも保証されていないからです。
それなら、思い切って発想を転換してしまおうというのが、この『根拠のない自信をもって努力する』という方法です。
具体的には、『これがあれば幸せ』ということを証明するための努力をするということです。
今日取り上げた『結婚すれば幸せ』という事例で考えると、『結婚したから私は幸せになれるはずだ。この後、幸せな結婚生活を送るためには私は何をしたら良いだろう』と考え、結婚生活を幸せにする努力をしていくということです。
例えば、夫婦の会話を大切にしよう、相手を思いやる気持ちを持とう、家事はお互いに助け合ってやっていこうと自分で決めて、それを続けいったとします。
夫婦での会話を大切にする、お互いを思いやれる、家事は助け合う、こういう夫婦が離婚をするでしょうか?
離婚どころか、ずっと夫婦円満な気がするわ。
結婚すれば幸せだという根拠のない思い込みも、努力すれば事実に変わるんです。
これが根拠のない自信をもって努力するという方法です。
まとめ
今回は、『これがあれば幸せ』と考えると不幸になる確率が上がりますというお話をさせて頂きました。
最後に、要点をまとめていきます。
フォーカシング・イリュージョンとは、『〜すれば幸せになれるはず』と思い込んでしまい、その状態が自分が幸せになれるかどうかの分かれ目であるかのように信じてしまうこといいます。
フォーカシング・イリュージョンは、本来、保証されていないはずの幸せが、欲しい物を手に入れることで『確実に手に入るような錯覚を起こしていまう』ため、欲しい物が手に入って幸せになれなかったときに不幸を感じます。
人は生まれながらに欲求を持っているため、フォーカシング・イリュージョンを完全に避けたり、防ぐことはできません。
そんなフォーカシング・イリュージョンと上手に付き合う方法として、『本質をみる』、『根拠のない思い込みをもって努力する』という2つの方法があることをお伝えしました。
本日の内容は以上となります。
ところで、ず〜っと気になってたことが有るんだけど・・・。
なんですか?
マズローさんの、欲求階層理論だっけ?あれ、生理的欲求しか解説してないよね。
(・・・ギクッ!忘れてた)あ、じゃあ、最後に解説載せておきますね。
マズローの欲求段階理論は、こんな感じです。
- 生理的欲求:生きていくための基本的で本能的な欲求(食べ物、水、睡眠などを求める)
- 安全の欲求:危険の回避、安全・安定を求める欲求(財産、健康、家などを求める)
- 所属と愛情の欲求:集団への加入、受け入れ合う人間関係を求める欲求
- 尊敬(承認)の欲求:他者から認められたい、尊敬されたいという欲求
- 自己実現欲求:自分の可能性と能力を高め、自己実現をしたいという欲求
おまけ『今日のたかさん』
やる気にならない理由は、優先順位にあります。
最近、全然やる気にならないのよねぇ。
ええっ!ゆうさんに、『やる気がない』なんてことあるんですか!
た、たかさん・・・怒るわよ。
ゆうさんだけでなく、皆さんも『やる気が起きない』という気持ちになったことがあると思います。
でも、どうして人はやる気になったり、やる気にならなかったりするのでしょうか。
結論を言ってしまえば、人のやる気は動機に左右されているからというのが理由になります。(うつ病などの例外はあります。)
動機とは、人が心を決めたり、行動を起こしたりする直接の心理的原因のことを言います。
直接の心理的原因?・・・難しいなぁ、もっと簡単に教えてよ。
簡単に言ってしまえば、自分の思いです。
例えば、『ゲームをしたいから、ゲームをする。』『親から怒られたくないから学校の宿題をする。』というように、人の行動は自分の思いが大きく影響します。
そして、この『自分で◯◯したいから』『自分が◯◯になるのは嫌だから』というような自分の思いのことを動機といいます。
動機が高まると人は行動を起こします。
つまり、人が何か行動を起こすということは、行動を起こすための動機が存在するということになります。
当たり前だと思われる方もいるかもしれませんが、動機が無ければ人は動かないと考えると『動機』がいかに大切なものかが分かります。
例えば、勉強しないお子さんを勉強させようと色々手を尽くしたとしても、お子さんに勉強する動機が無ければ、勉強することはありません。
勉強しないお子さんに勉強させたいと思うなら、お子さんが勉強する動機をもつように働きかける必要があります。
動機がなければ人は動くことが無いということです。
そして、動機がない人に動機をもつように働きかけることを動機づけといいます。
動機づけには2つの種類があります。
あっ!内発的動機づけと外発的動機づけね!
そうですね。この2つの動機づけの話は、前回の記事でも取り上げていますので簡単におさらいだけしておきましょう。
ちなみに、内発的動機づけ、外発的動機づけのメリット・効果についての詳細が知りたい方は、記事のリンクを貼っておきますのでそちらをご参照ください。
でもさぁ・・・私、動機はあるんだけど、なぜかやる気が起きないのよねぇ。
おっ!ゆうさん、良いところに気づきましたね!
ここまでの話を整理すると、『動機があれば人は動く、だから動機が無ければ動機づけしましょう』というような内容になると思います。
ですが、実際には、動機があっても行動に移せないことがあるんです。
例えば、部屋が汚れているのを見て「掃除しなきゃなぁ」と思っていても、なんだか面倒くさくなってしまって掃除をしなかった、みたいな経験はありませんか?
あるある!ついつい、ダラダラしちゃうのよねぇ。
(そして、なぜかボクがゆうさんの部屋を掃除することになるんだよなぁ。)
実は、動機があっても行動に移せないのには理由があります。
結論を先に言ってしまうと、それが今回のテーマであるやる気の優先順位ということになります。
やる気と行動は比例関係にあります。
つまり、やる気があれば行動を起こしやすくなりますし、やる気がなければ行動を起こしにくくなります。
ってことは、やる気がないなら・・・やる気の優先順位を上げればいいってことか!
そのとおりです。やる気の優先順位が上がれば、行動に移しやすくなるんです。
そして、やる気の優先順位を上げるためのお届けする今日のコンテンツはこちらです。
今回の記事は。やりたいことがあるのに一歩を踏み出せない、何でも後回しにして後で後悔してしまう、勉強しないお子さんにどうにか勉強させたい・・・そんな方にピッタリな内容です。
ぜひ、最後までお付き合いください。
1時間目:私達は選択しながら生きている?
やる気の優先順位に触れる前に、1つだけ抑えておきたい大事なことがあります。
それは、私達は選択をしながら生きているということです。
例えば、朝起きて仕事に行く、学校に行くというような当たり前となっている行動でさえ選択をしています。
こんな話をすると、仕事に行くのは当たり前、学校に行くのは当たり前だと思われる方もいるかもしれません。
ですが、ただ選んでいないだけで、仕事に行かない、学校に行かないという選択肢は確かに存在しています。
ただ、仕事に行く、学校に行くという選択肢は、『行かない』という選択肢よりも優先順位が高いと自分が思っているから、『行く』を選んでいるというだけです。
確かに、給料もらえないと生活できないわけだし・・・仕事に行くを選ぶわね。
じゃあ、もし、仕事をしなくて今の給料がもらえるとしたら仕事に行きますか?
そうねぇ・・・行かないかも。
生活のために仕事をしている場合、生活が保証されている状態をつくると、仕事に行く動機は小さくなります。
それによって、仕事の中身は何も変わっていないのに、自分がとる行動は変わります。
行動が変わるということは、もともと選択肢として『仕事に行かない』を持っていたということになります。
仕事に行かないという選択肢をもっていないと、生活が保証されていても仕事には行き続けるということになるからです。
なるほどねぇ・・・あっ!でもさ、選択の話は分かったんだけど、この話と優先順位の話がどう繋がるわけ?
先程も話しましたが、選択するときはどんなふうに選んでいるかというと・・・
あっ!!自分が優先順位が高いと思っている方を選んでるんだ!!
(・・・話の途中、なんだけどなぁ。)
2時間目:やる気の優先順位上げる方法
先程お伝えしたように、私達が選択をするときは、優先順位が高いと自分で思った方を選んでいます。
つまり、やろうと思っていることの優先順位を1番にすれば、行動に移せるということになります。
そして、やろうと思っていることの優先順位を上げる方法は、2つしかありません。
やろうと思っていることの やる気を上げるか、やろうと思っていること以外のやる気を下げるかです。
やろうと思っていることのやる気を上げる
やろうと思っていることのモチベーションを上げることによって、やろうと思っていることの優先順位を上げるという方法です。
モチベーションを上げるといえば、動機づけよね!
そうですね。前回の記事でお届けした内発的動機づけや外発的動機づけが、やる気を上げる方法ということになります。
例えば、生活のために仕事に行っているAさんという人に、『この間同じ会社のBさんが、あなたがいたおかげで助かったって言ってたわよ』みたいな話をしたとしましょう。
すると、Aさんは自分が認められたことが嬉しくなり、『また仕事で頑張ろう』とか、『またBさんを助けてやろう』という気持ちが芽生えてきます。
これで、仕事に行くモチベーションは上がります。
つまり、仕事に行くか行かないか悩んだ時に、仕事に行くという選択をする確率が上がったということです。
これが、やろうと思っていることのやる気を上げるという方法です。
やろうと思っていること以外のやる気を下げる
やろうと思っていること以外のモチベーションを下げることによって、結果的にやろうと思っていることの優先順位が上がるという方法です。
理屈は分かるんだけど、具体的にはどうやるの?
方法は2つあります。
1つは、嫌いなもの回避という方法、もう1つは、選択肢を減らすという方法です。
嫌いなもの回避
これは、やろうと思っていること以外の選択肢を自分が嫌いなものに変えてしまうという方法です。
例えば、仕事に行き渋っているCさんがいたとします。
このCさんに、『仕事に行かないと生活ができなくなる』と話をすると、生活ができなくなるというデメリットを回避するために、Cさんは仕事に行くようになります。
この場合、仕事に行きたくないというCさんの気持ちは変わっていません。
ですが、仕事に行かないことのデメリットが、仕事に行かないことへのモチベーションを下げたために、結果としてCさんは仕事に行くという選択をしたわけです。
これが嫌いなもの回避という方法です。
選択肢を減らす
選択肢を減らすとは、やろうと思っていること以外の選択肢を消してしまうという方法です。
これは、皆さんも経験したことがあると思いますが、『勉強するために図書館に行く』みたいな方法です。
家にいるとどうしても携帯電話をいじってしまったり、テレビを見たりゲームをしたりと勉強に集中できなくなってしまいます。
だから図書館に行くのよね!
携帯電話をいじる、テレビを見る、ゲームをするといった誘惑の選択肢は、勉強するという選択肢と比べると『やりたいことの優先順位は上』になります。
ですが、そういった誘惑の選択肢が無ければ勉強の優先順位は上がります。
つまり、図書館に行くことで勉強する以外の選択肢を減らすことができ、結果的に勉強の優先順位を上げる、これが選択肢を減らすという方法です。
3時間目:それでもやる気が起きない時は『5秒ルール』を使おう
前回、今回とやる気を上げる方法についてお伝えしてきましたが、それでもやる気が起きない、モチベーションが上がらないという方のために、『5秒ルール』を紹介します。
そういうの待ってました〜っ!!
で、それ何?どうやるの?
く、詳しく説明しますね。
5秒ルールとは、やろうと決めた瞬間から5秒のカウントダウンを始めて、5秒後にはやろうと決めたことを始めるという方法です。
例えば、携帯電話をいじってる最中に『勉強しよう』と思い立ったら、その瞬間から『5,4,3,2,1』とカウントダウンを始めて 、5秒後には机に向かって勉強するという感じです。
人の脳は、考える時間が長いほど『やらない理由を探してしまう』という性質があります。
テストが近づいてきて勉強しようと思っても、すぐに机に向かわないと『面倒くさいなぁ』とか『まだ日にちあるし焦らなくても大丈夫だよなぁ』と考えてしまうのは、こういった脳の性質によるものです。
逆を言えば、考える時間を脳に与えなければ行動に移しやすいということになります。
つまり、5秒ルールとは、『やらない理由を脳が探し始める前に、始めてしまおう』という方法なんです。
でもさ、携帯いじってるところから、いきなり勉強を始めるって結構難しくない?
そんな時は、行動を細かく分けるといいと思います。
携帯電話をいじるところから勉強を始めるまでの過程を細かく分けると、①携帯電話の電源を切る、②机に向かう、③参考書を取り出す、④勉強を始めるの4つのステップに分けられます。
そして、この①〜④のステップそれぞれに5秒ルールを適用していきます。
すると、1つ1つのステップに移行するハードルが下がるため、行動に移しやすくなるというわけです。
この4ステップを簡単にまとめると、次のようになります。
それぞれのステップが成功したときには、自分で自分を褒めてあげると更に効果的ですよ。
まとめ
やる気にならない理由は優先順位にあるをテーマにお届けしてきましたが、いかがでしたか?
最後に今日の内容をまとめていきますね。
私達は、常に選択をしながら生きていて、どの選択肢を選ぶかは自分の中での優先順位が決めているというお話をしました。
自分がやろうとしていることの優先順位を上げる方法は、『やろうと思っていることの やる気を上げる』か、『やろうと思っていること以外のやる気を下げるか』での2つがあるということでした。
そして『やろうと思っていることの やる気を上げる』方法は、内発的動機づけや外発的動機づけを使い、『やろうと思っていること以外のやる気を下げる』方法では、嫌いなもの回避と選択肢を減らすという方法があるという紹介をしました。
最後に、やろうと思っていることを直ぐに行動に移すためのテクニック『5秒ルール』についてもお伝えしました。
今日の内容は以上となります。
ところで、ずっと気になっていたんですが、ゆうさんが最初に言っていた『やる気にならないこと』って結局何だったんですか?
ああ、んとね、来月健康診断があるのよ。
け、健康診断・・・ですか?
そうそう。それで痩せなきゃって思ってるんだけど、食べ物の誘惑には勝てなくてダイエットする気になれないってわけ。
結局、食べ物か・・・。
チャンチャン♪
【お悩み相談】うちの子、受験生なのにやる気がなくて困っています。(中学・高校受験向け)
『あなた受験生でしょ!どうしてそんなにやる気がないの?』
このセリフを子どもに何回言ったか分からない・・・。 今日の記事を読んでくださっている方は、そんな方が多いのではないでしょうか。
私も受験生のとき、お父さんから『勉強しろ』って言われてたなぁ。
お父さんから勉強しろって言われて、ゆうさんはどうしてました?
『今やろうと思ってたのに、やる気なくした〜』って言い返してた(笑
受験生なのに勉強しない、やる気を全く感じない、そんな我が子を見ていると、『このままでは駄目だ』『何とか机に向かわせたい』という気持ちになってきます。
そもそも『勉強しなさい』という言葉は、そんな親心から出ているセリフですよね。
ところが、肝心のお子さんはというと、そんな親の気持ちを知ってか知らずか机に向かう気配すらありません・・・そうなるとイライラしたり、時には嫌気がさしてしまうこともあります。
そして、『どうしてうちの子は勉強しないんだろう?』って思ってしまいます。でも、どうしてお子さんは勉強しないのでしょうか?
やっぱり、勉強が嫌いだからじゃないかしら?
確かに、勉強が嫌いだから勉強しないというお子さんはいます。ですが、必ずしも勉強が嫌いだから勉強しないというわけでは無いんです。
例えば、テスト前日の一夜漬けです。
普段は勉強嫌いで机にすら向かわないお子さんが、テスト直前になって慌てて勉強し始めるんです。
仮に、勉強が嫌いだから勉強しないのだとすると、テスト前になって勉強し始めるお子さんがいることの説明がつかなくなってしまいます。
なるほどね。じゃあ、何で勉強しないのかしら?
結論を言ってしまえば、勉強するお子さんと勉強しないお子さんの違いは、勉強に対するモチベーションが違うからです。
勉強しないお子さんは、そもそも勉強に対するモチベーションが低いから勉強しません。ですが、お子さんの中には『テスト勉強をしないといけない』という気持ちはあるんです。
だから、テスト直前になると『そろそろ本当に勉強しないとヤバい』と思い、モチベーションに火がついて勉強をし始めるんです。これが一夜漬けです。
仕事でも育児でも『面倒くさい』とか『やる気ない』と思っているときは、ついついサボってしまったり、手を抜いてしまうことがあります。
ですが、『やるゾ〜!』と自分決めたときは、積極的に動くことができますよね。
つまり、お子さんに勉強させようと思ったら、お子さんの勉強に対するモチベーションを上げる必要があるということです。
じゃあ、勉強のモチベーションを上げられれば良いってことよね!
そうですね!モチベーションは上がればお子さんは自然と勉強するようになりますね。
ゲームが好きなお子さんは、『ゲームを止めなさい』と親に叱られても、少しでも長い時間ゲームを続けようとします。
ゲームに対するモチベーションが高いからです。
それと同じで、勉強したいという状態にお子さんがなれば、そのお子さんは自然と勉強するようになります。
でもさ、言いたいことは分かるんだけど・・・それって難しくない?
難しいですか・・・。
ひょっとして、ゆうさんはお子さんの勉強嫌いを何とかしたいと思っていませんか?
そりゃそうよ。だって、勉強が嫌いなのにモチベーションなんて上がるわけないじゃない。
確かにそういう一面もあります。ですが、安心してください。勉強嫌いは無理に直そうとしなくて良いんです。
勉強は嫌いなのにモチベーションを上げることなんて、本当にできるのかと疑問に思った方もいるかもしれません。
ですが、先程の一夜漬けの例のように、勉強が嫌いなお子さんも『勉強に対するモチベーションを上げる』ことができれば、自然に勉強するようになるんです。
つまり、勉強は嫌いなままでも全く問題ないということになるんです。
例えば、ロールプレイングゲームの例で説明しましょう。
ゲームの途中、敵が強くなって同じ場所でひたすらレベル上げをしている場面や、ゲーム後半のひたすら長いダンジョンの移動をしている場面を思い出してみてください。
『早く終わらないかな』とか『面倒くさい』って思うわね。
『面倒くさい』っていうことは、できるなら『やりたくない』ってことですよね。
そうね。ストレスだし、できることなら『すっ飛ばしたい』わ。
そ、そうですよね。ここで大切なのは、『面倒くさい』と思いながらもゲームは続けているという点です。
レベル上げが面倒くさい、マップの移動が面倒くさい、そう思いながらもゲームを続けているということは、嫌なことでも続ける方法があるということになります。
そして、その嫌なことでも続けるために必要な方法こそがモチベーションを上げることなんです。
今回は、そのモチベーションを上げるためにどうしたら良いかを次のコンテンツでお伝えしていきます。
まとめると、モチベーションを上げるためには動機づけが必要ってことね!
ええっ!?ゆうさん、いきなりまとめに入らないでください!
いいじゃない!どうやって動機づけをするのかは最後まで読まないと分かんないんだし!
(ひょっとして、最後まで読ませるように動機づけしてる?)
そ、そんなわけで、ぜひ最後までお付き合いください。
1時間目:動機づけを理解しよう
モチベーションを上げるためには動機が必要です。
動機とは、人が心を決めたり、行動を起こしたりする直接の心理的原因のことです。
『お腹空いたと思うから、ご飯を食べる』みたいな話よね。
そうですね。その例だと、『お腹が空いたから、それを解消したいと思うこと』が『食べる』動機になります。
動機がなければ人は動きません。お子さんが勉強しないのは、お子さんが『勉強したい』と思っていないからです。
逆を言えば、お子さんが勉強したいと思うように動機づけができると、お子さんは勉強するようになるということになります。
では、具体的にどうやって動機づけをしていくのでしょうか?
動機づけする方法は2つあります。1つは外発的動機づけ、もう1つは内発的動機づけと言われるものです。
外発的動機づけとは?
外発的動機づけとは、人から承認や賞罰など自分の外からの刺激によって動機づけることを言います。
例えば、お子さんと『テストでいい点数をとったら、ゲームを買ってあげよう』とか『門限を破ったら家に入れないからね』というような約束がこれにあたります。
早い話が『物で釣る』みたいな話でしょ!
そ、そうですね。(スパッと切られた・・・。)
外発的動機づけは、目標達成のために『強いきっかけ』や『やる気』を与えてくれるというメリットがあります。
テストでいい点を取ったらゲームを買ってあげると約束すると、お子さんは『自分の欲しい物が手に入る』と思います。
同じように門限を破ったら家に入れないと約束をすると、お子さんは『門限を破ったら嫌なことが起こる』と認識します。
つまり、お子さんの好きなことや嫌いなことを利用しての動機づけになるため、その効果は強いものになります。
ですが、一方で目標達成のためには手段を選ばなくなったり、目標を達成してしまうとそれ以上の努力をしなくなるというデメリットもあります。
例えば、本当は門限を過ぎて帰ってきたにもかかわらず『門限を破っていない』とウソをついてみたり、ゲームを買ってもらった後は全く勉強しなくなるというようなことが起こります。
外発的動機づけって『熱しやすく冷めやすい』って表現がピッタリね。
他にも報酬に魅力がなくなると、動機づけが弱くなるというデメリットもあります。
これが外発的動機づけと言われるものです。
内発的動機づけとは?
外発的動機づけとは反対に自分の好奇心や興味など、自分自身が自分を動機づけることを内発的動機づけと言います。
例えば、『ゲームが好きだからゲームをする』とか『野球が好きだから野球部に入る』のように、損得ではなく自分自身から湧き上がる気持ちから行動に移すというものがこれにあたります。
好きな音楽を聴いたり、好きな洋服を買うのもそうよね!
そうですね。好きだからやる、やりたいからやる、それが内発的動機づけです。
内発的動機づけは、自分の探究心や好奇心からスタートすることが多いため、損得感情に左右されない分、持続力が強いというメリットがあります。
サッカーが大好きで、毎日サッカーのことばかり考えたり調べたりしていたら、いつの間にかサッカー評論家になっていた・・・そんなことが起こせるのも内発的動機づけの力です。
そんな無敵の動機づけに思える内発的動機づけにもデメリットはあります。
それは、自分では意図的に内発的動機づけを持つことができないということです。
1つ実験をしてみましょう。
あなたが、興味がないものを1つだけ想像してみてください。
私の場合は、ダントツでたかさんの読んでる本ね・・・あれはツマラナイわ。
では、想像できたら次のステップに移ります。
想像したものに対して今から興味をもってください。
ええっ!!そんなの無理に決まってるじゃない!
このように、自分の興味関心は自分でつくろと思ってつくれるものではありません。内発的動機づけは意図的にもつことはできないというわけです。
また、内発的動機づけには1つの特徴があります。
それは、外発的動機づけによって影響を受けることがあるということです。
例えば、ゲームが好きなお子さんがゲームをやっていた(内発的動機づけ)としても、親から『ゲームを止めなさい』と言われる(外発的動機づけ)と子どもはゲームを止めざるをえなくなります。
このように内発的動機づけにより始まったことでも、外発的動機づけによって行動を続けられなくなることがあります。
この例とは逆に、外発的動機づけが内発的動機づけを強めるパターンもあります。
例えば『テストで100点を取りたい』と思って勉強している(内発的動機づけ)ところに、親から『100点を取ったら好きなもの買ってやるぞ』と言われる(外発的動機づけ)と、ますます勉強に身が入ります。
この場合、内発的動機づけを外発的動機づけが強めていることが分かります。
これが内発的動機づけと言われるものです。
2時間目:内発的動機づけを起こすキッカケを沢山つくろう
さきほど、内発的動機づけは自分で意図的にもつことができないものだとお伝えしました。
ですが、内発的動機づけは起こすことができるんです。
えっ!?内発的動機づけって意図的に持てないんでしょ?どうやって起こすのよ?
外発的動機づけに影響を受けるという性質を利用するんです。
例えば、普段あまり勉強しないお子さんが、たまたまテストで良い点を取ってきた時に、母親からこんなふうに言われたらどんな気持ちになるでしょうか?
『あなたのテストの点数のことをお父さんに話したら、お父さんがすごく嬉しそうな顔をしてね、「そうか!そうか!」って言いながら、あなたのことすごく褒めてたよ。やればできる奴だって、俺はずっと信じてたんだって言ってた。あなた、お父さんに凄く期待されてるみたいよ。』
少しオーバーかもしれませんが、こんな話をされるとお子さんの勉強に対するモチベーションは上がり、次のテストも勉強を頑張っていい点数を取る確率は高くなると考えられます。
そして、いい点数を取るという成功体験を積むと、お子さんは『勉強ができると楽しい』と思うようになっていき、次第に周りから言われなくても自分から勉強するようになります。
このように『褒める』というお子さんの外からの刺激(外発的動機づけ)が、お子さんが自分から勉強したいという気持ち(内発的動機づけ)を起こすことができるというわけです。
そんなにスムーズに行くなら、誰も苦労しないわよ。
ゆうさん、いいところに気づきましたね。
実は、そこが内発的動機づけの難しいところなんです。
お子さんによって『心に響く言葉』は違います。言葉の受けとめ方も受けとめの深さも十人十色です。そのため、事例のような言葉掛けをしても効果が無いこともあると思います。
つまり、ここでお伝えしたいのは、『事例のような言葉をかければ、お子さんは勉強するようになります』ということではありません。
事例のようにお子さん変わるキッカケ(外発的動機づけ)を沢山つくろうということです。
お子さんによって受けとめ方は違いますし、何がキッカケで変わるかはお子さん自身も分かりません。
つまり、色々な刺激をお子さんに与えて、内発的動機づけが誘発してくれるのを待つしか無いんです。これが結構大変なんです。
3時間目: 内的動機づけに結びつく外的動機づけ
『勉強したい』という内発的動機づけをするために、そのキッカケづくりとして外からの刺激(外発的動機づけ)が大切だという話をしました。
内容は分かったんだけどさぁ・・・内発的動機づけに結びつく刺激を探すのは大変そうよねぇ。
分かりました。それでは、いくつかヒントを紹介しましょう。
小学生以下のお子さん場合
小さいなお子さんの場合は、楽しみながら勉強できる学習教材を使ってみたり、遊びなどの体験の中から学びにつなげるという方法もあります。
つまり、『楽しい→もっと知りたい→勉強しよう』という好奇心を利用するという方法です。
ただ、通信の学習教材は、お子さんの年齢や発達に合わせて楽しみながら学習できるものがあり、楽しみながら、遊びながら学習できるというメリットがあります。
でも、種類がいっぱいあるからどれを選んで良いのか迷っちゃうわね。
この辺りの情報については、私のブログよりも、ちいく村さんがとても分かりやすく丁寧に解説してくれています。
興味の有る方は、ぜひ一度見てみてください。
小学校高学年〜中学生のお子さんの場合
小学校も高学年くらいになってくると、将来の夢について考える機会が増えます。
そのため、将来どんな仕事につきたいか、将来どんな大人になりたいのか、目標が明確になっているようなら目標と勉強を結びつけるという方法も有効です。
お医者さんになりたいなら、大学の医学部に入る必要があるみたいな感じね。
『勉強しないとなれないよ』とか『勉強したほうが活躍できるよ』って、勉強の必要性を伝えてあげる感じですね。
でもさ、お医者さんとか弁護士さんとか資格が必要な仕事ならそれも分かるんだけど、資格のいらない仕事の場合はどうするの?
その時は、お子さんの夢を大きく広げてあげると良いと思います。
どんな職業も、夢が大きくなれば知識や技能で求められるレベルは高くなります。
例えば、日本のプロ野球であればそれほど重要視されない英語力も、大リーガーになれば必要です。
競争の激しい大リーグの世界で成功するには、英語で手間取っていては他の選手にあっという間に抜かれてしまいます。
だから『今やっている英語の勉強は野球選手として成功するために大切なものなんだ』と伝えてあげることで、英語学習のキッカケをつくれると言った具合です。
小学校中学年くらいのお子さん〜大人の場合
過去の記事でも紹介しました『相手のメリット・デメリットで伝える』という方法で、動機づけすることもできます。
この方法は、自分がして欲しいことと、相手にしてほしいことの共通点を見つけて、相手にメリット・デメリットがあるように伝えていくという話し方の型になります。
この記事のおまけでお伝えした『相手のメリット・デメリットで伝えるための3ステップ』はオススメなので、まだ読んでいない方がいましたら、ぜひご一読ください。
まとめ
今回は、勉強のやる気がないお子さんが、どうすれば勉強するようになるかについてお伝えしました。
話をまとめると、お子さんが勉強するようになるには、勉強の好き嫌いではなく勉強に対するモチベーションを高める必要があるということでした。
そして、そのモチベーションを高めて維持していくには、内発的動機づけをすることが大切で、その内発的動機づけをするために、勉強したくなる動機を外から沢山与えてあげましょう(外発的動機づけ)というお話をさせて頂きました。
普段意識をしてなかったけど、動機って奥が深いのねぇ。
そうですね。普段生活の生活で意識することはあまりありませんが、私達は動機によって行動を決めているんです。
でも・・・今思ったんだけど、正反対の動機がぶつかった時はどうなるのかしら?
例えば、勉強をしたいという動機と勉強をしたくない動機がぶつかった時は、動機が大きい方の行動をとります。
そのため、今回の動機づけは、お子さんが自分から勉強したいと思うようになるために『勉強をしたいと思うように動機づける方法』をお届けしました。
ですが、勉強したいという気持ちが変わらなくても『勉強しよう』とお子さんが思う方法がもう1つあるんです。
本当は、その内容にも触れたかったのですが、かなり長文になってしまいそうなので次回、紹介しようと思います。
たかさんは計画性が無いのね。
(グサッ)
先週もブログの更新をサボるし・・・困ったものよねぇ。
(グサッグサッ)
こ、今回も長文を読んで頂きありがとうございましたっ!!
おまけ
これであなたも幸せになれる!?『心の引き算』のお話
『幸せになるために、妄想なんかが役に立つの?』そんなふうに思った方もいるのではないでしょうか?
ハイ、ハ〜イ!それ私で〜す!!
妄想しても幸せはやってこないと思いま〜す!
ゆ、ゆうさん!?
だってさ、いいことが無ければ幸せって思わないじゃない?
だから、妄想したくらいで幸せになれるなんて思えないわ。
確かにいいことがあれば幸せだと思えますよね。
ですが、いいことが無かったとしてもゆうさんは幸せなんです。
心理学者であるポール・ドーランも、自身の著書『幸せな選択、不幸な選択 〜行動経済学で最高の人生をデザインする〜』の中で、私たちはたいてい、自分が手にしている幸せには気づかないと記しています。
私たちは、今とても幸せな状態にあります。ですが、その幸せに気づけないから幸福を感じることができないとポール・ドーランは言っているのです。
では、どうしたら幸せに気づくことができるのでしょうか。どうやったら、『私は今とても幸せなんだ』と思うことができるのでしょうか。
その具体的な方法として今回取り上げるのが、『心の引き算』という方法です。
今回は、自分の幸せに気づこうっていうっていうコンセプトね!
当たり前の話だと思われるかもしれませんが、自分の幸せに気づけば幸せな気持ちになれるんです。
心の引き算を知ると、今の自分が相当に幸福であることに気づけるようになります。
同じ時間を過ごすなら、何気なく過ごすより幸福を感じていた方が幸せだと思いませんか?
今回は、そんな幸福な時間を過ごしたいと願うあなたに、こんな時間割を用意しました。
最後まで、ぜひお付き合いください。
1時間目:銀メダリストより銅メダリストの方が幸せな理由
最初に、お届けするのは『銀メダリスト』より『銅メダリスト』の方が幸福度が高い理由についてです。
ちょっ、ちょっと待って!銀メダルって2位ってことよね?
3位の銅メダルの人の方が幸せってどういうこと?
銀メダルの人の方が順位は上ですが、幸福度は銅メダルの人の方が上っていうことです。
そ、それは分かるんだけど、どうして順位の低い方が幸せなのかを教えてくれないかなぁ〜。
アメリカのコーネル大学の研究チームは、1992年のバルセロナオリンピック開催中に銀メダリストと銅メダリストの幸福度を調べています。
その内容は、メダルが確定した瞬間の選手の表情を20人の判定員が調査するというものです。
この調査の結果、銀メダリストの幸福度は10点満点中4.8点だったのに対して、銅メダリストの幸福度は7.1点という結果になりました。
どうして銅メダリストの方が銀メダリストより幸福度が高くなったのでしょうか?
それは、比べる対象が違うからです。
具体的には、銀メダリストは金メダリストと自分を比較したのに対して、銅メダリストはメダルに届かなかった選手と自分を比較したということです。
なるほどねぇ〜。銀メダリストは、金メダリストと比べるから悔しい気持ちが強かったってことね。
そうですね。それに対して銅メダリストは、メダルに手が届いたという喜びの気持ちが強かったということです。
これが銀メダリストより銅メダリストの方が幸福度が高い理由です。
2時間目:心の引き算を使うと銀メダリストも幸せになれる
先程の銀メダリストと銅メダリストの幸福度の違いは、比較する対象の違いだということが分かりました。
つまり、幸せを感じたいと思うなら、何と比較をするかが大切だということです。
もし、銀メダリストの比較対象が金メダリストではなく、メダルに届かなかった自分だったとしたら、銀メダリストはどんな気持ちになると思いますか?
メダルが手に入ったんだもん!嬉しい気持ちになるわよね!
同感です。メダルが有るのと無いのとでは、気持ちが全然違いますよね。
実は、この『メダルに届かない自分を比較対象にする』という考え方が、今回ご紹介する『心の引き算』を使った考え方です。
銀メダリストが、メダルに届かない自分を想像した場合、頭の中にはこんな言葉が浮かんでくるのではないでしょうか。
『もし私がメダルに届かなかったとしたら、表彰台に上がっている人を眺めて悔しい気持ちになったんじゃないかな。そう考えると、表彰台にも上がれてメダルも獲得できた私は幸せ者だ!』
心の引き算というのは、実際に存在するものを差し引いた『無い』自分と、実際の『有る』自分を比較して物事を考えることで幸せを感じられるという考え方なんです。
この心の引き算を使うことができれば、銀メダリストもより多くの幸せを感じることができるというわけです。
心の引き算かぁ。ものは考えようっていうけど、考え方って大切だなぁって改めて思ったわ。
考え方1つで幸せになれるって、素敵ですよね。
3時間目:心の引き算の効果を体験してみましょう
心の引き算がどういうものか分かったら、実際に使ってみてその効果を試してみましょう。
あなたは今どれくらい幸せを感じていますか?
それでは、ここで1つ質問です。
あなたは今、どれくらい幸せを感じていますか?
0点(ひどく不幸)〜10点(うっとりするほど幸せ)の10点満点で今の幸福に点数をつけてみてください。
私は、控えめに言って8点くらいかしら?
(控えめで8点なんだ…)ボ、ボクは6.5点くらいです。
さて、点数はつけられましたか?点数をつけられたら、目を閉じて次のことを想像してください。
あなたは突然目が見えなくなりました・・・目の前に広がるのは暗闇だけ。ユーチューブもTwitterもブログも見ることができません。家族の顔も、愛するあの人の顔も、何も瞳に映らなくなってしまいました。
そして、そんなあなたに更なる不幸が訪れます。両手を失ってしまったのです。杖をつきながら歩くことができなくなりました。食事も一人ではとることができません。車の運転どころかパソコンのキーボードすら打てません、そして、愛する人を抱きしめることもできません。
さて、ここまで来たら目を開けてください。
それでは、1つ質問をします。
あなたは今、どれくらい幸せを感じていますか?
私は、120点!今、すごく幸せなんだと思ったわ!
ゆ、ゆうさん、10点満点ですよ!ちなみにボクは、9点です。
この質問で大事なことは、『他人事のように考えるのではなく、あたかも自分が体験しているかのように想像を巡らせる』ということです。
心の引き算の効果
今回の質問は、目が見えない、両手も無いという『無い自分』を比較対象にして、実際には目が見える、両手もあるという『有る自分』の幸福さを感じてもらうためのものです。
目が見えない自分や両手がない自分を想像することが難しい(ショッキングすぎる)と思った方もいるかもしれません。
この場合は、例えばパートナーがいなくなったら自分はどうなるのか、携帯電話がなくなったら自分はどうなるのか、明日から戦争が始まるとなったら自分はどう感じるのかなど、別のものを想像してもいいと思います。
先程もお伝えしましたが、この質問で大切なことは、『他人事のように考えるのではなく、あたかも自分が体験しているかのように想像を巡らせる』ということです。
そして、この心の引き算の効果について、スイスの実業家であるロルフ・ドベリは自身の著書『Think clearly』で『脳に非常に大きな興奮を与えるため、慣れるこということはない。』と言っています。
慣れないってことは、心の引き算を使えばいつでも幸せになれるってことよね。
そうですね。この心の引き算の効果は、アメリカの心理学者たちの研究でもちゃんと証明されているんです。
まとめ
今回は、心の引き算についてお届けしましたが、いかがでしたか?
まだ持っていないものについて考えるより、いま持っているものを持てていなかった場合、どのくらい困っていたかについて考えたほうがいい。
これは、ストア派と呼ばれる哲学者たちが2000年以上前に述べていた言葉です。
この言葉が無かったら、心の引き算は生まれていなかったかもしれません。
そう考えると、心の引き算を知ることができた私は幸せ者だと思います。
心の引き算でうまくまとめたわね!
でも、心の引き算で幸せになれるなら、いい考え方よね!
そうですね。心の引き算、ぜひ使ってみてください。
今回も長文を読んでいただき、ありがとうございました。
Think clearly 最新の学術研究から導いた、よりよい人生を送るための思考法
おまけ
誰とでも良い関係をつくれる!?安心感を与えるコミュニケーションのとり方【話し方編】
今回の記事は、いつも相手を怒らせてしまう、自分の要求が全く通らない、そんな悩みを抱えている方に向けて書いています。
今回は安心感を与えるコミュニケーションの『話し方編』ね!
そうですね。
でも、話に入る前に1つ押さえてもらいたいことがあるんです。
何?もったいぶらないで、早く教えてよ。
『押さえてもらいたいこと』というのは、話し方を学んだとしてもちゃんと話を聴けていなければ良いコミュニケーションはとれないということです。
1つ実験をしてみましょう。
私とあなたで日常会話をしている場面を想像してみてください。
私が自分の思っていることを延々と話し続け、それに対してあなたは一言も話す機会が無かったとします。
さて、私の話を聞いているとき、あなたはどんな気持ちになりますか?
なんかねぇ・・・イライラしてくる!
そ、そうですよね!(ゆうさんと話すときは気をつけよう・・・。)
まるで講演会や座学の研修を受けているような片方の人が一方向的に話すコミュニケーションは、聞いている側からするととても退屈でストレスが溜まりやすいものです。
この場合、相手を退屈させないためには話を聞いている相手がもっと知りたい、もっと話を聞きたいと思う必要があります。
ですが、通常のコミュニケーションの中でそのような場面になることは難しいと思いますし、何より一方的なコミュニケーションは良いコミュニケーションとは言えません。
さて、実験の続きをしましょう。今度は立場を入れ替えて考えてみます。
今度は、あなたが話す側です。
あなたが『どうしても他の人に話したくてたまらないこと』を延々と話している様子を思い浮かべてください。
あっ、それいい感じ!ストレス発散には最高ね!
そ、そうですよね。
話をするということは、『心に留めていた気持ちを表にだす』ということです。
つまり、話をするということは、それだけ『心に溜め込んでいた』『我慢していた』気持ちを吐き出していることになりますので、ストレス発散には効果的なんです。
これを心理学の世界ではカタルシス効果(魂の浄化)といいます。
ここまで話で片方の人が一方的に話しているときは、話をしている側は気持ちよくても、話を聞いている側はストレスに感じてしまうことがあるということを理解いただけたと思います。
つまり、良いコミュニケーションを取りたいと思うなら、どうやら相手の話もちゃんと聞く必要があるだろうということを感じていただけたのではないでしょうか。
そして、相手の話に耳を傾けるときにも、話をする人が話をしやすくなる『話のきき方』というものがあります。
具体的には、相手の話に共感したり、話したことに対して共感したりして、相手を尊重しながら『話を聴く』という方法です。
この話の聴き方については、前回の記事でお伝えしています。下にリンクを貼っておきますので、まだご覧になっていない方はぜひ一度目を通してみてください。
さて、良いコミュニケーションをとるためには、話を聴く姿勢が大切だということはお分かりいただけたと思います。
そして、『話を聴ける』にもう一つ、武器を加えることで更にコミュニケーションのレベルを上げることができます。
それが、『話し方』っていうことね!
そうですね。
そして、その話し方のポイントとなるのが『相手を尊重する』ということです。
相手を尊重する?
・・・あれ?話を聴くときの姿勢と同じ感じがするわね?
ゆうさん、良いところに気づきましたね!
ここまでの話の流れから考えると、話を聴くことが大切で話し方はあまり大切でないような印象を受けたかもしれません。
ですが、コミュニケーションは言葉のやり取りがあって初めて成り立つものです。
そのため、良いコミュニケーションをとるためには、話の『聴き方』だけでなく『話し方』も大切な要素になってきます。
例えば、『話はしっかり聴ける。けれど、話す時には相手を否定する。』みたいなコミュニケーションでは、良い関係を築くことができません。
『話はしっかり聴ける、話す時も相手を肯定する』のようなコミュニケーションが理想的です。
そして、相手を肯定する話し方の土台となるものが『相手を尊重する』という姿勢なんです。
良いコミュニケーションをとるためには、話を聴くときも、話をするときも相手を理解する、相手を尊重するという姿勢を守ることが大切だということです。
そして、そんな『話し方』をお伝えする今回のコンテンツはこちらです。
これが実践できれば、確実に人間関係は良くなりますし、良いコミュニケーションがとれるようになります。
そして、この話し方を身につけると、話を聞いている相手が『自分を受け入れてくれる』という感覚をもつようになりますので、『自分に対する非難』も減るというメリットもあります。
何か、良いことばかりね!
そうですね。それだけ話し方が大切だってことなんです。
さあ、早速内容を見ていきましょう!
1時間目:自分のお願いごとをストレートに伝えると失敗する!?
良いコミュニケーションのとる方法なのに、なぜ『お願いごと』の話になるのか疑問に思った方もいるのではないでしょうか。
そうね。話し方のコツを教えてくれるのかと思ったら、『お願いの仕方』から入るんだもん。
これには、ちゃんと理由があるんです。
先に答えを言ってしまいましょう。
実は、お願いごとというのは『とてもレベルの高いコミュニケーションだから』なんです。
お願いごとはレベルの高いコミュニケーション!?
お願いをするという行為は、自分の言うとおりに相手に動いて動いてもらいたいと伝える行為です。そのため、お願いごとをすると利害関係が生じやすくなります。
利害関係といういう言葉をそのまま使うなら、自分に利があり、相手に害があるのがお願いごとというわけです。
確かに、たかさんから『お願い』って言われると、『え〜っ!嫌だな』って思うことあるわ。
・・・そ、それだけ利害関係を生まない世間話よりも、『お願いごと』の伝え方は難しいってことです。
そうね。相手に気を遣うものね。
お願いごとというのは、自分の欲しいものを手に入れるために相手に負担をかけるコミュニケーションです。
もっと分かりやすく言うならば、相手を怒らせたり、不信感に繋がってしまう可能性のあるコミュニケーションがお願いごとということです。
つまり、お願いごとを相手に素直に受け入れてもらえるような話の仕方ができれば、大抵のコミュニケーションは上手にとれるということになります。
良いコミュニケーションのとり方で、『お願いごと』を取り上げる理由・・・お分かりただけましたか?
つまり、『大は小を兼ねる』っていうことよね!
お願いごとというのは、それだけレベルの高いコミュニケーションだと言うことです。
お願いごとをストレートに伝えてはいけない!?
では、早速お願いごとをしてみましょう。
と言っても、自分のお願いごとをそのままストレートに伝えてはいけません。
えっ!?意味がよく分からないんだけど・・・どういうこと?
そうですねぇ、一言でまとめるなら・・・
ストレートなお願いには相手を尊重する気持ちが入っていないからでしょうか。
お願いというのは、自分のしてほしいことを相手に依頼するという行為です。
例えば『買い物行ってきて』『ゴミを出しておいて』とうように、ストレートにお願いを伝えてしまうと、それを伝えられた相手の方は『一方的に要求を突きつけられた』と感じてしまいます。
そうなってしまったら、自分のお願いを聞いてもらえる確率は低くなってしまいます。
私がゆうさんに『ちょっと買い物してきて』ってお願いしたとしたら、ゆうさんは・・・
もちろん、『自分で行けばいいじゃない?』って言って、断るわよ!
(予想はしてたけど、言い終わる前に断られてしまった。)
このように自分のお願いごとをそのままストレートに伝えてしまうと、『相手を尊重する』という配慮がなされていないために、お願いを聞いてもらえないということが出てきます。
本来は聞いてもらえたはずのお願いも、話し方1つで断られてしまうというのはとても勿体ないことです。
2時間目:2つのお願いの型
では、どうやったらお願いを聞いてもらいやすくなるのでしょうか。
ここまでの話から考えると、『相手を尊重する』ってことじゃないかしら?
そのとおりです。
相手を尊重するという立場からお願いをするということが大切なんです。
この『相手を尊重する』ということを踏まえてお願いをするということができれば、お願いを聞いてもらえる確率は上がります。
お願いをするときは、相手にメリット・デメリットが存在するかどうかで型が異なります。
相手にメリット・デメリットが無い場合
相手にメリット・デメリットがなく、自分の都合でお願いをするときに使う場合はどのように話したら良いのでしょうか。
この場合の話し方の型は『①感情+②理由の説明+③お願いする内容+④効果』が有効です。
例えば、買い物に行って欲しいというお願いをする場合は、こんな感じになります。
すみません・・・本当は買い物に行くつもりだったけれど(①)、仕事が終わるのが遅くなりそうでスーパーの閉店時間までにお店に寄れそうにありません。(②)だから、私の代わりに買い物に行ってもらえないでしょうか。(③)冷蔵庫には何もないし、夕飯も準備できないので買い物に行ってくれると助かります(④)
いかがでしょうか。
単に『買い物行ってきて』と言われるのと全然違うわね!
そうですね。ちゃんと相手の立場を考えてお願いをしていますので、ストレートにお願いを伝えるのとは印象が全く違ってきますよね。
この型には、『本来は私がやるべきことなのに、あなたにお願いしてしまって申し訳ない』というような相手のことを思った言葉が含まれています。
ちなみに、この型はあくまでも基本形ですので、例えば④の効果の部分が無いこともあります。
相手にメリット・デメリットがある場合
相手にメリット・デメリットがある場合は、そうでない場合と比較してお願いごとを聞いてもらえる確率が高くなります。
人は誰でも自分が得したい、自分は損をしたくないという気持ちを持っているからです。
つまり、相手にメリット・デメリットがあるときは、それを最大限に利用して話をします。
具体的には、相手のメリット・デメリットで伝えていくということをしていきます。
例えば、私が学校の先生で、どうしても生徒に覚えてもらいたいことがあったとしましょう。
さて、この場合、私は生徒に何と伝えたら良いのでしょうか?
う〜ん。。私なら、『ここは重要なところだから覚えてね!』って言うかなぁ?
もう少し踏み込んで考えてみてください・・・生徒が『覚えたい』と思うときってどんなときでしょうか?
あっ!先生に『テストに出るよ』って言われたときだ!
いいですね!テストに出るところを覚えればテストで良い点数がとることができる、それは生徒にとって大きなメリットですね!
学生であれば、誰しもテストでいい点を取りたいと思うものです。
ですので、私ならその生徒の気持ちを上手に使って『ここはテストに出すから必ず覚えておいて』と伝えます。
これだけで生徒は必死に覚えようとしてくれます。
更に、この伝え方には大きなメリットがあります。それは、お願いをしているのに自分の好感度が上がってしまうということです。
例えば今の事例も、私は生徒に『覚えてほしい』とお願いをしただけですが、生徒たちから見れば、『先生はテストに出るところを教えてくれた優しい人』に映ります。
お願いも聞いてもらえて好感度も上がってしまう、これが『相手のメリット・デメリットで伝えていく』という話し方です。
- 相手にメリット・デメリットがないときは、『感情+理由の説明+お願いする内容+効果』で話す。
- 相手にメリット・デメリットがあるときは、『相手のメリット・デメリット』で話す。
まとめ
今回は2つのお願いの型をご紹介しましたが、いかがでしたか?
ただ、今回お伝えした話し方の型というのは、良いコミュニケーションを取るための手段でしかありません。
良いコミュニケーションをとるためには、手段よりも私もOK、あなたもOKという雰囲気をつくろうとする気持ちがとても大切です。
つまり、『話を聴く時は、相手や相手の関心事に関心をもち、教えてくださいという姿勢で話を聴くということ、話をするときは、相手の気持ちを尊重するという姿勢で、伝える言葉を選んで話しをするということ』ができるかどうかということです。
そして、これができれば誰とでも良いコミュニケーションは取れるようになります。
話を聴くときも、話をするときも
相手がいることを意識すること
それが良いコミュニケーションをとる秘訣だと私は思います。
おまけ
話し方が大切なことは分かったケド・・・
どうしました?
相手のメリット・デメリットで伝えるって、意外と難しいのよね。
そうですね。では、1つ良書を紹介しましょう。
コピーライターの佐々木圭一さんが書かれた『伝え方が9割』という本です。
この本では、『相手のメリット・デメリットで伝える』ということを、3ステップに分けて分かりやすく書いてくれています。
- ステップ1:自分の頭の中をそのままコトバにしない(思ったままをストレートに言わない)
- ステップ2:相手の頭の中を想像する(自分のお願いからいったん離れて相手の好きなこと、嫌いなこと、性格を想像する)
- ステップ3:相手のメリットと一致するお願いをつくる
みかんを食べると風邪をひかなくなるよ
具体的に、この本では『相手にみかんを食べてもらいたい』という例を使って、この3ステップを解説しています。
具体的に見ていきましょう。
ステップ1:『相手にみかんを食べてもらいたい』と思う。けれど、そのままコトバにはしない。
ステップ2:自分のお願いから離れて相手の頭の中を想像してみる。周りが風邪をひきだしているから『相手は風邪をひきたくない』と考えていることが分かる。
ステップ3:ステップ1とステップ2が合致するお願いごとを考える。すると『みかんを食べると風邪をひかなくなるよ』となる。これを伝える。
ゆうさん、どうでしょうか?
これなら3ステップに分かれているし、考えやすいわね!
この本には、他にも強い言葉をつくる8つの技術として、サプライズ法やギャップ法、赤裸々法などが紹介されています。
ちなみに、この本はシリーズになっていて①と②がありますが、オススメは『伝え方が9割②』です。
②は①の内容を包括した内容となっていますので、②を読めば①の内容を理解することができるからです。
興味のある方は、ぜひ手元においてみてください。
長文を読んで頂き、ありがとうございました。
誰とでも良い関係をつくれる!?安心感を与えるコミュニケーションのとり方【話の聴き方編】
今回は、誰とでも良い関係をつくれる安心感を与えるコミュニケーションについてお届けします。
この記事を読んでくださっている方は、『人とコミュニケーションを取ることが苦手』とか『上手にコミュニケーションを取りたい』とか良いコミュニケーションのとり方について考えている方が多いのだと思います。
では、そもそも良いコミュニケーションとは一体どんなものなのでしょうか。
ゆうさんは、どんな時に良いコミュニケーションが取れてると感じますか?
そうねぇ・・・。
あっ、仲のいい友達と行ったこの間の女子会!
あの時は凄くは楽しかったなぁ。
そ、それは良かったですね。(終電が無くなって、ボクがゆうさんを迎えに行った時の話だ。)
コミュニケーションが苦手という方も、ゆうさんのように仲のいい友達や気心の知れた仲間と話をするときは、自然と良いコミュニケーションがとれていることが多いのではないでしょうか。
これには1つの大きな理由があります。
それは、『信頼関係ができている』ということです。
信頼関係ができている状態とは、私は傷つけられない、どんな話をしても受けとめててらえる、そういった自分の心の安全が保証されているとお互いが思っていることを指します。
確かに、私の知り合いにもすぐ否定する人がいるけど・・・そういう人とはあまり話したいとは思わないものね。
自分が傷つくと分かっていれば、腹を割って話すことはしません。
信頼関係っていうのは、それだけ大切なものっていうことですね。
信頼関係は良いコミュニケーションをとる上で必要なものになります。そして、その信頼関係を築くための土台となるものこそが『安心感』です。
お互いが傷つかない、お互いに尊重しあえる、そんな安心な空間があったとしたら、何でも話すことができます。
逆に、何を言っても否定される、何を話しても理解してもらえない、そんな安心感のまるでない空間があったとしたら、コミュニケーションどころか言葉すら出てこないかもしれません。
コミュニケーションをとるにあたって『安心感がある』というのは、それだけ大切だということです。
安心感が大切なのは分かったけど、具体的にはどうやったらいいのかしら?
そうですね。じゃあ、今日はこんな感じでやってみましょう。
今日お伝えするスキルは実際のカウンセリングの現場でも使われているものです。
カウンセリングで使われているなんて、何か本格的ね!
そこにこのブログの価値があります!
さあ、今日も気合を入れて行きますよ!
安心感を与える考え方と、安心感を与える方法、これを知っているだけで、あなたのコミュニケーションは良い方に変わります。
ぜひ最後まで御覧ください。
1時間目:『優しくする=安心感を与える』ではない!?
最初にお話するのは、優しくすることが安心感を与えることには繋がらないということです。
えっ!?そうなの!優しくされたら誰だって嬉しいじゃない!
そうですね。優しくされたら嬉しいですよね。
でも、それは相手の気持ちを尊重していることが前提にあっての話なんです。
え、よく分かんないんだけど??どういうこと?
1つ具体例を挙げましょう。
今日は、あなたの誕生日。あなたは、友人たちを集めて誕生日パーティーを開いています。
そして、パーティーも終盤に差し掛かったころ、友人たちからお金を集めて買ったというコーヒーメーカーをプレゼントされます。
ところが、あなたはコーヒーの苦味が苦手で、普段からコーヒーは飲んでいません。
どうしてコーヒーメーカーを選んだのか聞いたところ、どうやら『コーヒーメーカーがあなたの家に無いと知っていたから』というのが理由のようです。
その友人たちは、あなたがコーヒーを苦手であることはもちろん知りません。
さて、コーヒーメーカーをもらったあなたは、今どんな気持ちですか?
気持ちは嬉しいけど・・・ありがた迷惑って感じかな。
友人達は、良かれと思ってプレゼントしています。
もちろん悪気なんて一切ありません。
じゃあ、何でこんなことが起こるの?
本来、今回のプレゼントの受け渡しの場面では、友人たちはあなたの喜ぶ顔を見て幸せになり、あなたはプレゼントを受け取って幸せになることが理想です。
ところが、今回は残念ながらそのような結果になりませんでした。
こんな結果になってしまったのは、友人達に悪気は無かったにせよ、結果的に『あなたの気持ちを無視することになってしまった』からです。
つまり、友人達はあなたにとって良いことであると思い込んでしまい、それを一方的にあなたに押し付けてしまったということです。
さて、あなたはこの友人達に対して安心感を持つことができたでしょうか。
ひょっとしたら、友人達にもった感情は不信感だったかもしれません。
優しさが不信感になってしまうなんて・・・なんか複雑。。
そうですね。だから、本当に相手のことを思うなら、最初に相手がどう思っているか確認することがとても大切なんです。
もし、今回の誕生日パーティーの前に、友人達が『コーヒー好き?』というような話をあなたにしていれば、誕生日プレゼントにコーヒーメーカーを選ぶことは無かったと思います。
そうすれば、あなたがプレゼントに複雑な気持ちを抱えたまま誕生日パーティーを終わることは無かったのではないでしょうか。
これが優しくすること=安心感を与えることにならない理由です。
- 相手の気持ちを理解しないと、優しさの押しつけになってしまう。
2時間目:安心感を与える『話を聴く』というスキル
相手の気持ちを理解することが大切だと分かった上で、実際に相手に安心感を与える方法をお届けしましょう。
まず、相手に安心感を与えるためには、相手に『自分は傷つかない』と思ってもらう必要があります。
話す相手に『この人になら何を話しても大丈夫だ』って思ってもらうということね。
安心感を与える上で、特に大切なのは話の聴き方です。
日常会話と傾聴の違い
カウンセリングでも使われている話の聴き方に、傾聴というものがあります。
傾聴とは、コミュニケーションを通して相手を理解しようという営みのことを言い、相手に安心感を与えることができる話の聴き方です。
この傾聴という話の聴き方は、相手の気持ちを理解しようという姿勢で話を聴きますので、日常会話での話の聴き方とはちょっと違います。
日常会話での話の聴き方と具体的にどう違うのかしら?
そうですね。
じゃあ、1つ事例を挙げてみますね。
今回の事例に登場する Aさんは、入社3年目の若手社員です。職場にも慣れ、任される仕事もだんだんと増えてきました。
そんなある時、Aさんは仕事で大失敗をしてしまいます。頭を抱えていたAさんに、先輩社員であるBさんが声をかけるところから話は始まります。
会話の途中から、日常会話での話の聴き方をした場合と、傾聴で話を聞いた場合に分かれます。
話の聴き方が違うので、Bさんの口から出てくる言葉がまるで違うことが分かると思います。
どちらがAさんに安心感を与えられているのか、注目して読んでみてください。
その1:日常会話での話の聴き方の場合
Bさん「どうした?元気ないな」
Aさん「Bさん、何か気を遣わせてしまってスミマセン。」
Bさん「俺で良かったら、話してみろ。」
Aさん「Bさん、どうしたらいいのでしょうか。取り返しのつかない失敗をしてしまいました。」
Bさん「誰にだって、失敗はある。クヨクヨしても仕方ないだろ。」
Aさん「でも、もう会社にいられないかもしれません。クビになるのかなぁ」
Bさん「終わったことはクヨクヨするな。気にしたって仕方ないだろ!」
Bさんは、Aさんを励まそうとしてるわね。
そうですね。ただ、Bさんの口から出てくる言葉には、Aさんの気持ちを尊重するワードが何も入っていません。
これだとAさんは、安心感が持てないってこと?
まあまあ、その結論を出す前に傾聴した場合の例を見てみましょう。
その2:傾聴での話の聴き方
Bさん「どうした?元気ないな」
Aさん「Bさん、何か気を遣わせてしまってスミマセン。」
Bさん「俺で良かったら、話してみろ。」
Aさん「Bさん、どうしたらいいのでしょうか。取り返しのつかない失敗をしてしまいました。」
Bさん「取り返しのつかない失敗をしたと思ってるのか・・・不安だよな?」
Aさん「そうなんです。もう会社にいられないかもしれません。クビになるのかなぁ」
Bさん「会社にいられないと思うくらい、思いつめているんだな・・・辛いな。」
Aさんは同じ話ししかしていないのに、さっきのとは全然違う!
Aさんの気持ちをBさんが分かってくれてるって感じがするわ。
そうですね。今回のBさんはAさんの不安や辛いと思う気持ちを理解して、しかも尊重しているからそう感じるんだと思います。
傾聴という話の聴き方
では、日常会話での話の聴き方と傾聴での話の聴き方は何が違うのでしょうか。
日常会話では、相手が話したことを自分というフィルターを素直に通して考え、相手に伝え返すということをしています。
例えば、先程の会話で
Aさん「Bさん、どうしたらいいのでしょうか。取り返しのつかない失敗をしてしまいました。」
Bさん「誰にだって、失敗はある。クヨクヨしても仕方ないだろ。」
という場面がありました。
この場面、AさんとBさんの会話の真ん中に、Bさんのフィルターを加えてみると、Bさんが自分のフィルターを通していることがよく分かります。
具体的に見てみましょう。
Aさん「Bさん、どうしたらいいのでしょうか。取り返しのつかない失敗をしてしまいました。」
(「取り返しのつかないことしたって言ったって、過去に戻れる訳でもなし、どうしようもないだろう。悩んだって意味ないよな」)←Bさんのフィルター
Bさん「誰にだって、失敗はある。クヨクヨしても仕方ないだろ。」
いかがでしょうか。
BさんはAさんの言葉を聞いて、自分が感じたことをそのまま返している感じね。
そうですね。日常会話ではこのやり取りが自然な形です。
では、傾聴で話を聴くとどうなるのでしょうか。
傾聴では、相手が話したことを自分というフィルターを通す際「相手は今どう感じているんだろう」と考えます。
あ、分かった!それが、相手の気持ちを尊重するってことだ!
ゆ、ゆうさん!?まだ説明の途中・・・
あっ!? またやっちゃった!!
ゆうさんに、先を越されてしまいまたが、先程と同じように会話の例を使って確認していきましょう。
Aさん「Bさん、どうしたらいいのでしょうか。取り返しのつかない失敗をしてしまいました。」
Bさん「取り返しのつかない失敗をしたと思ってるのか・・・不安だよな?」
AさんとBさんは、こんな会話のやりとりをしていましたね。
では、ここにBさんのフィルターをかけてみましょう。
Aさん「Bさん、どうしたらいいのでしょうか。取り返しのつかない失敗をしてしまいました。」
(「Aは、取り返しのつかない失敗をしたことで不安になっているんだな。俺もその気持ちに共感できることを伝えてあげよう。」)←Bさんのフィルター
Bさん「取り返しのつかない失敗をしたと思ってるのか・・・不安だよな?」
さあ、いかがでしょうか。
BさんはAさんの気持ちを理解しようって姿勢が伝わってくるわね。
そうですね。(ゆうさんの立ち直りの速さ・・・ハンパない。。)
日常生活での話の聴き方と傾聴での話の聴き方の違いは、自分のフィルターの通し方の違いです。
相手の人を理解しようという姿勢で話を聴くこと、これが傾聴という話の聴き方です。
- 相手を理解しようという気持ちで話を聴くこと
まとめ
今回は、相手に安心感を与えるコミュニケーションのとり方として、傾聴という話の聴き方についてお伝えしました。
ただ、この傾聴というスキルは、基本的な態度、話を聴く際の心構え、具体的な技法などがあり、実際には結構複雑なものです。
ですが、自分の考えを一方的に押し付けるのではなく、『相手の気持ちを理解しよう』という立場で話を聴くことは、意識をすればそれほど難しいことではありません。
今回の練習ポイントは、『相手の気持ちを理解しようと意識しながら話を聴く』ってとこね。
上手くまとめましたね。それができれば、今まで以上に相手に安心感をもってもらえますね。
相手に安心感をもってもらえれば、それは信頼関係につながり、良いコミュニケーションにも繋がります。
そして、それはより良い人間関係をつくる土台にもなるんです。
相手の気持ちを理解しようと意識するだけで、人間関係も良くなるなんて素敵ね!
アドラー心理学で有名なアルフレッド・アドラーは、人の悩みは全て人間関係の悩みだと言っています。
もし、これが事実だとすれば、相手の気持を理解すれば自分の悩みを大きく減らすことができるということになります。
安心感を与えるコミュニケーションで、
人生を好転させちゃおう!
今日も長文を読んでいただき、ありがとうございました。